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Re: 殺人鬼少女の罪〜罪と罰の呪縛〜 ( No.66 )
日時: 2011/07/26 10:36
名前: クリスタル (ID: d9npfmd5)

 魔法なんて、そんなドリーミングなもの、どうやって使えというのだろう。

「夢と希望を持て!愛を持て!大自然の美しさを見て、感動できる心を——」

「うるさい!どうせ私には、夢も希望も金も血も涙も無いわよ!」

 ビミョーにうざったくて、うるさいウラヌス。

「じゃあ、魔法は使えないわね!お手本を見せてあげるわ!——と、言いたい所だけど、私も忙しいの。だから、助っ人を3人呼んだわ」

 助っ人?どうしよう、40代後半のおっさんが出てきたら。それが3人も着たら、自殺しそう。

「えーと、ツグミと、アカギと、ロイズ!新入りの世話は、任せたわよ!」

 桜色のウェーブの掛かったロンゲの少女と、空色の髪の少年と、赤毛の男子がこちらに向かってくる。空色の髪の少年は、若干ショタキャラっぽい。桜色の髪の少女は、同じ歳くらいだろうか。赤毛の男子は、高校生くらいだろう。

「はじめまして。僕は、ロイズ」

 空色の髪の少年は、ロイズというらしい。アレ?近くで見たら、可愛い。

「じゃあ、3人とも、ルキアに色々教えてあげてね」

 そう言ってウラヌスは、去っていった。面倒くさくなって逃亡したようにも見えるが。

「君、ルキアって言うの?どこかで聞いたような……」

 アレ?ルキア様って呼ばれてた人、有名じゃないの?それともロイズが世間知らずなのか。

「は?ルキアって……昔の魔王じゃなかったか?じゃあ、お前、魔王か!?」

 魔王様を、呼び捨てする赤毛の男。おそらくアカギ。

「私は、人間のころに大罪を犯したとか何とかで、悪魔になって、『ルキア』って言う昔魔王に名前をもらって、ついでに「お前はもう死んでいる」見たいなことを言われて、悪魔になったわ」

「そうですか。(この人、国語力無いなー……)私は、ツグミです」

 桜色の髪の、かなり美人な少女は、ツグミと名乗った。私の話を軽くスルーしてしかも、ボソッと「国語力無いなー」と、言った。

「まあ、どうでもいいけど、お前魔法が使えないんだって?馬鹿だなー!魔法の使い方のこつは、夢と希望を持て!愛を持て!大自然の美しさを見て、感動できる心を持て!」

 アカギがウラヌスさんと同じことを言ってる。お前には、夢も、涙も、希望も、涙も、愛も、涙も、血も、涙も、金も、涙もなさそうだが。特に感動する心も無い鈍感なやつに見える。

「あ、そういえば僕、用事が有るから帰るよ」

「ああそう?それじゃあ、また今度」

 ロイズが帰るのか。もっと話したかったけど。

「俺も帰る。後は任せたぜ、ツグミ」

 この場で誰もが思った。「お前は面倒くさいから逃げたいだけだろう」と。

「わかりました。ロイズもアカギも気をつけて。じゃあ、ルキアさん、魔法を使う練習しましょ!」

 「本当はそんなこと必要ないし、生きていれば使えるけど」というツグミの心の声が聞こえた気がした。



「普通に魔法、使えろー!って、やれば使えます。ほら、ルキアさんなんて、凍ってしまえー!死んでしまえー!!二度と現れんじゃねー!!!おりゃー!!」

「ん?ツグミ、あなた…なんかストレス溜まってるの?って、冷たい!体中が冷えるー!わぁ!!?」

 下半身が凍ってきている。(普通は、この次点で死んでいるはず)上半身も凍ってしまった。完全に氷の中に閉じ込められた。ツグミのストレス解消として使われた。

 ああくそぅ、私を怒らせるなんていい度胸だ。刻んでやる!切り刻んでやる!跡形も無く!そうだ、結構大きめで、振り回しやすくて、切り刻みやすい武器が有れば迷わず刻んでやるー!!ないなら自分で作る!魔法でどうにかなるだろう!

 自分が本当に魔法が使えるならば、大きめの鉈とか、斧とか、鎌とか作れるだろう!自分の魔力とやらを信じて、この氷を割って、今すぐ刻みに行ってやる。

 私は、自ら氷を割った。そして、自分の魔力で、鉈を作り出した。


「あ、これ、魔法?魔法使えた?私」


 よし、これでこの女を切り殺せる。刻んでやる。

「ああ、おめでとうございます、ルキアさん。魔法使えましたね。って、何してるんですか!?やだ、殺さないでくださいー!!」

「刻んでやる!この天然パーマネント女!」

「どこがパーマネントだって言うんですか!?うわ〜っ」



 とりあえず魔法を使えるようになったが、やはりこれは現実のようだ。さっきの氷の冷たさも、魔法を使う瞬間の自分の中で眠っていた何かが目覚めるような感覚も、全て現実だ。

 これは、永遠に冷めない悪夢ではなかった。永遠に続く私の人生だった。

 
第3章 完