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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 森の奥の絶命図書館 第一話更新☆ ( No.10 )
- 日時: 2011/04/30 19:48
- 名前: 萌恵 ◆jAeEDo44vU (ID: Pmy7uzC3)
森の奥の絶命図書館〈第Ⅰ章 絶命図書館Ⅱ〉
——その少女は、年齢に似合わない冷酷を秘めた暗い瞳をしていた。
瞳と同じ色の長髪が、涼しい風に靡いている。
小夜は、その少女を一目見るなり、はっと息を呑んだ。
そう、この少女は、はっきり言うと——今まで見た事が無い程の—
とても美しい少女だった。
「——人間。この、神聖な場所に、立ち入るでない」
少女が、霧の彼方から聞こえてくる様な、神秘的な声で言った。
一瞬、周りの空気までもが、揺れたと思った。
少女の目線は、小夜から、怪我をした千波へと移った。
そして、顔から、警戒が拭われた。
「怪我した人間——お前達も、ついて来なさい——」
『アヤシイ』
好奇心たっぷり、怪談大好き、記憶力抜群の人なら、そう思うだろう。
小夜は、そのどれにも当てはまり、やはり、こう思った。
小夜達一行は、少女の案内で、ある、古びた西洋屋敷の前に来ていた。
——この建物は、あの怪談、
『絶命図書館の怪』の特徴に当てはまっていた。
十二歳程の副館長と、十五歳の幼い館長が取り仕切る、
数多くの絶命した人の所有物——主に書物——が、
棚にぎっしり並べてある、風変わりな図書館だ。
そして、扉は、朱色で観音開き——。
小夜の目の前に立つ建物は、朱色の観音開きの扉だった。
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