ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 怪談話 ( No.117 )
日時: 2011/08/27 11:08
名前: 秋桜 ◆SVvO/z.cC. (ID: ueXHoJNS)
参照: 元、「かりん」です

30「心霊スポット」

皆さんは心霊スポット、行った事ありますか?
行こうと思っている人やめたほうがいいですよ?
後悔したくなければ……



「あんなとこ、行くんじゃなかった……」

私は震えながら湯船につかる。
暖かい湯船が冷たく感じる。

ことの起こりは、一週間前の校門前。

「なぁ。胆試しに心霊スポット行かね?」

幼馴染の健二が私に訊ねる。

「え……うん……」

私は、本当は行きたくなかったけれど、好奇心のほうが勝ってしまい、行くことになってしまった。

「じゃあ、一週間後の今頃、此処でな」

「え、ちょ!何処行くかぐらい教えてよ!」

「それは、一週間後にわかることさ」

そういって笑った。

それから、一週間後。

「よっ!来たな」

健二が片手を挙げる。

「来いって言ったのは、健二じゃん」

私は、苦笑しながら言う。

「そうだっけ?」

健二がとぼける。

「そうよ」

行く前はあんなに楽しかった。

「ほら、行くぞ」

健二が私の手をとる。

「う、うん……」

顔が少し赤くなったのを気づかれない用に私はうつむきながら答える。

「今日、行く心霊スポットは、俺達しか知らない場所にあるんだ」

「俺達って……私も知ってるの?」

「ああ」

「何処?」

「ついたらわかるよ」

健二は私を気遣ってか、ゆっくり歩いてくれた。



枝が服に当たる、草が足に絡まる……
奥には不気味な洞穴。不気味な鳥の鳴き声。

嫌な風景。でも、どこか懐かしい……

「健二?まだ?」

「もうちょいで見えてくるよ。優」

そういって、健二が目の前にあるつたを払う。

そこにあったものは……

「きゃあぁぁぁ!が、骸骨……」

何度か本で見たことのある人骨。目の間からは草が生え、頭にはコケが生えている。
健二はごく普通に其処にあるその骸骨を見つめる。

「な、なんで……私が知っているの?」

健二は答えない。

「ねぇ。健二……?」

私は健二の顔を覗き込む……

「ひっ!」

その顔は人骨を目の前にした顔ではなかった。
満面の笑みでその骸骨を見つめている。
私は怖くなり、ゆっくり後ずさる……

運悪く、足元にあった枝を踏んでしまう。

パキッ……軽快な音が響く。

その音に気がついたのかゆっくり健二が近寄ってくる……

「お前のせいで……お前のせいで……俺は……」

「え?わ、私のせい?」

怯えながらも健二に訊ねた。

ゆっくりうなずく。

「な、何があったの?」

「お前がツキオトシタ……ダカラ、オマエモ、ツキオトス」

その言葉を聞いた時、私は慌てて逃げ出した。
健二のわけがないと確信して。

来た道を引き返す。
後ろを振り向かないように。



そして、今に至る。

「本当に……健二だったのかな……?」

私は肩に湯船をかける。

「そろそろ出ようかな?」

立ち上がり、ふと、窓のほうへ向く。

「きゃあぁぁぁぁ!」

其処には健二が覗いていた。
窓から這い上がり、ゆっくりと近づいてくる。
私は恐怖で腰が抜け、動けない。




「ツカマエタ」


声が響く。





———この少女の幼馴染、健二は5年前に死んでいます。
———え?何でかって?それは言いかねます———
———少なくとも、少女が関連しているのでしょう———