ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 怪談話 ( No.48 )
日時: 2011/08/11 10:17
名前: 秋桜 ◆SVvO/z.cC. (ID: ueXHoJNS)

19「鳥居」
友達の家の近くには、大きな鳥居があります。
いつも不思議に思っていました。
何故、鳥居だけがあるのか……

祖母に聞くと、この地域も、昔、たくさん空襲を受けた場所だそうです。
戦争が起きる前には、かなり大きなお寺があったそうです。
そして、戦争が始まり、祖母も命が危うくなったそうです。
祖母の母は、祖母を助けたい一身で、そのお寺へ向かいました。
でも……そのとき、お寺に空襲の爆弾が落ち……祖母の母は……亡くなりました。
帰りが遅い母を心配した祖母は、母が向かったはずのお寺へ向かいました。
お寺の様子を見て、祖母は騒然としたそうです。
祖母の母が向かったはずのお寺は、鳥居だけを残し、黒焦げになっていたそうです。
祖母は必死に祖母の母を探しました。
生きていることを願いながら。
でも……祖母の母はお寺のそばで、黒焦げになって見つかりました。



その話を聞いた後、わたしは、その鳥居の場所へ向かいました。


そして、驚きました。
女の人が必死に何も無いところに向かって何かを祈っていました。

わたしは直感で祖母の母だと思いました。

そのあと、ゆっくりと女の人は薄れていき、しまいには見えなくなりました。
ふと、時計を見ると、3:45分。ちょうど、そこに爆弾が落ちた時間でした。

今でも、祖母の母は、祈っているのでしょうか。
祖母が生きるように。