ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 怪談話 ( No.70 )
日時: 2011/08/16 22:16
名前: 秋桜 ◆SVvO/z.cC. (ID: ueXHoJNS)

25『学校〜胆試し〜』(ちょこちょこ方言はいります)

学校での胆試し。
それは、実はお墓などより怖いのかもしれません。

「なぁ〜あちーから、旧校舎で胆試ししねぇ?」

「お!いいねぇ」

「うん。やろうやろう」

「じゃあ、俺、ビデオ持ってく」

「うんうん。じゃあ、俺は懐中電灯」

「あたしは、カメラね」

こうして、あるグループが夜中の学校へ忍び込む。

「うへぇ……やっぱ、暗いな」

「当たり前じゃん」

「そうそう」

一階の全てを写真に収める。

「よしっと」

もう一人はビデオを回している。

「じゃあ、二階へ行こうよ」

「そうだな」

パタパタと足音を響かせ、三人は階段を上る。

「やっぱり此処もなんともねぇな」

「そうね……」

「まぁ、早々出るもんじゃねぇけど」

「だよなぁ」

「じゃあ、三階へ行こうよ」

「あぁ」

三階。此処が最上階。

「うわぁ……蜘蛛の巣だらけ……」

「しょうがねぇよ」

「当たり前か」

「そろそろ帰るか……さみーし」

「さみーか?」

「あぁ。十分さみー」

「まぁ、風邪の引きはじめだったら困るし……帰るか……」


そして、翌日とったビデオを皆で鑑賞した。

「なぁ……だよなぁって言ったの……誰だ?」

「俺じゃねぇぞ?」

「あたしじゃないわ……ん?ちょっと待って?」

1人の女の子が、ビデオを巻き戻す。

「おい……何して……」

「此処を見て」

女の子が画面を指差す。
其処には……ビデオを撮っていたはずの男のこの姿が……

「どういう……事だ?」

「あたしに聞かないでよ」

女の子は泣きそうになりながらつぶやく。

「可笑しい……よな?」

「あぁ」

「いや。俺が言ってるのは、俺のことじゃない。最後に、入っているいねって声だ」

「いね?そんな声はいって無かったよ?」

「もう一度、確認してみようぜ」

男の子が巻き戻す。

「うわぁ……蜘蛛の巣だらけ……」

———いね……

「しょうがねぇよ」

「当たり前か」

「そろそろ帰るか……さみーし」

「さみーか?」

「あぁ。十分さみー」

「まぁ、風邪の引きはじめだったら困るし……帰るか……」

———いねいねいねいねいねいねいねいねいねいね……


「確かに入っている……」

「でも、いねって……どういう意味かしら……」

「さぁ……」

そこで何もなく彼女達は帰った。


いねの意味に気づかない方が言いかもしれない……
なんせ、そのグループの後ろからは髪の長い女がついていっていたのだから。




ちょっとこの話に出てきた方言の意味。

あちー→暑い
さみー→寒い
いね→タヒね