ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 気まぐれストリートファイト ( No.111 )
- 日時: 2012/02/18 22:11
- 名前: 白樫 ◆fd.I9FACIE (ID: glXVlHlM)
- 参照: 名前変えました。
=第36話 地上最強の打撃型格闘技=
「さぁさぁ、続いての試合は此方!ゴラス・バルコム選手VS村雨 崙選手!」
「楽勝楽勝。」
「ちゃんと見ましょう。」
そそくさと舞台に立つロンを尻目にレオンはまたも余裕の表情。
舞台にはロンともう一人、ボクシンググローブとボクサーパンツを身に着けた男。
「さぁさぁ本日は此方!クールに決める中国拳士!漆黒の狼 村雨崙選手!」
「能書きはいい…相手は…。」
「対するは此方!予選で100名、そして本戦で2名をタヒぬ寸前までに追い込んだ暴君ボクサー!地獄の遊戯人 ゴラス・バルコム選手!」
「おぅおぅ…漆黒の狼が相手か…期待できそうだな…。」
「それでは勝負開始!」
合図と共にゴラスは一気に突っ込んだ。
そして自慢の豪腕でパンチを放つ。
「…っ…。」
防御はしたものの大きく後退する。
恐らくは衝撃を防ぎきれなかったためだろう。
「…グローブの上から此処までやるとはな…。」
「漆黒の狼もこの程度かぁ?え〜?」
途切れる事の無いラッシュを放つゴラス。
防御に徹するが威力の高さ故に衝撃を防ぎきれない。
「はぁ〜…結局退屈だったな…。」
そういうとゴラスはラッシュを止めて腕を軽く広げる。
「オラオラ、最後に一発打ってみろよ。此処だぞ、此処。」
「出ました!ゴラス選手の『処刑儀式』!」
「…此処か…。」
ダメージが大きかった為か、やや覚束ない感じに歩み寄るロン。
そして軽く跳躍してゴラスの顔面目掛けて強烈な回し蹴りを放つ。
想定外の威力にゴラスはよろめく。
「イテテ…此処じゃなかったんだよ!」
「何処を狙おうが俺の勝手だ…。」
「クソが…お仕置きが必要だなぁ!」
さらに強力なコークスクリューを放つゴラス。
しかし、ロンはそれを軽く受け流し、ゴラスの顔面目掛けて鉄拳を放った。
よろけるもののラッシュを放つゴラスだが全て回避され、逆にラッシュ数と同じ数の拳を喰らう。
「ゴラス選手、完全に遊ばれています。地獄の遊戯人の名が泣きそうです。」
「は、八極拳が此処まで強いとはな…。」
「おい…俺はまだ八極拳の技法など一つも使ってはいないぞ…。」
「…ヘヘ…そうかい…なら…こっちにも考えがね…。」
そういうとゴラスは構えを変える。
ロンは警戒しているようで此処で八極拳の構えを取った。
「いくぞぉ!」
そういうとゴラスは何と、蹴りを放ってきたのだ。
ロンはその意表をつかれ、喰らってしまう。
起き上がったときに追撃として回し蹴りが放たれるがコレは回避する。
「その構え…ムエタイだな…。」
「よく解かったじゃねぇか。」
「何とゴラス選手、ボクシングだけでは無くムエタイまで習得していたぁ!」
「地上最強ともいわれる格闘技の一つね。」
「相手に不足は無い…此処からは全力で行かせてもらおう…!」
再び構えを取るロン。
一方のゴラスもまた構えを取る。
そして両者は接近、ラッシュを畳み掛ける。
「両者、見事なラッシュを放って行きます。」
「見事ねぇ…だけど、よく見ててよ皆様。」
ラッシュを放ち続けるロンとゴラス。
しかし、徐々にロンがゴラスを押して来ている。
「貼山靠!」
そして遂にロンが打ち勝った。
ゴラスは背部での体当たりを受け、思いっきり吹き飛ばされる。
「ラッシュ合戦は見事にロン選手が制したぁ!」
「どれだけ格闘技の質が良くても使い手がコレでは意味を持たない…重要なのは己の拳の才能…それ以前に貴様如きが成せる格技でもないがな…。」
止めを刺すためにロンはゴラスへと歩みを進める。
「へ、へへ…な、なぁ…軽く一発だけにしてくれよ…俺はそれでダウンするからよ…。」
「………。」
黙々と歩み寄るロンに向かって手を広げるゴラス。
そしてロンが近づいていった時だった。
「かかったぁ!」
ゴラスがロンの頭を掴む。
「ゴラス選手の掴みが決まったぁ!」
「ムエタイはクリンチ(首相撲)が一番重要な技法!これに逃れられる術は無いぜ!」
その状態のままロンの顔面目掛けて膝蹴りを何発も叩き込む。
しかし。
「甘いな…。」
「なっ…膝蹴りが通用しねぇ!?」
「八極拳技法 密息…貴様の拳は俺には通用しない…はっ!」
腿の側面に拳を入れて脱出。
激痛に苦しむゴラスは何とか立ち上がる。
「これで終わりだ!」
立ち上がるゴラス目掛けて掌打を放つ。
しかし、間一髪でゴラスは防御した。
「ふぅ…。」
「猛虎硬爬山!」
そのまま間合いを詰め、ゴラスの鳩尾目掛けて肘打を放つ。
悲鳴の言葉を出さずしてゴラスはダウンする。
「勝負あり!勝者 ロン選手!決まり手 猛虎硬爬山!」
「大したことは無かったな…。」
舞台から身を引くロン。
「やっぱり勝ってるじゃねぇか。俺が見る幕じゃなかったぜ。」
「…否定できませんね…。」
流石にレオンの言い分の方に分があると判断したタカはこれ以上の否定はしなかった。
「さて…次は誰が…。」
「続いての試合は此方!嶋 崇史選手VS早川クララ選手!」
「…よりにもよって…。」
「まぁ、がんばって来いよ。」
まさかのカードが出てしまい、困惑を隠せないタカ。
そしてお互い舞台へと赴いてゆく。
=第36話 完=