ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 気まぐれストリートファイト ( No.112 )
- 日時: 2012/02/18 22:12
- 名前: 白樫 ◆fd.I9FACIE (ID: glXVlHlM)
- 参照: 名前変えました。
-第37話 最強の矛と無敵の盾-
「続いてのカードは此方!無双の怪力少年!投げの白犀 嶋 崇史選手!対するは優美なるカウンター戦術!月下の水連 早川クララ選手!」
その紹介が終わると同時に両者舞台に上がる。
普段は仲の良い2人ではあるが此処ばかりはとても真剣な表情をしていた。
「クララさん。出来る事なら貴方とは戦いたくありませんでした。」
「私もです…。」
「しかし、こうなってしまった以上は一切の手加減はしません。全力でやりましょう!」
「はいっ!」
そういうとタカは四股を踏んで気合をいれ、クララは鉄扇を開いて構えを取る。
「準備は良いですね!では行きましょう!レディーファイト!」
そしてゴングが轟いた。
それと同時にタカが得意のぶちかましを繰り出す。
しかし、その攻撃は簡単に受け流され、逆に鉄扇での攻撃を喰らってしまう。
「くっ…流石は返しの達人…。」
「まだまだ本領発揮していないのでしょう?これからですか?」
「これからっすよ!」
そういうと再びぶちかましにかかる。
「この技は完璧に見切りました!」
「見切れても返せると思わないことっす!」
通常と同じ様に攻撃をかわそうとするクララ。
しかし、回避しようとした瞬間タカはクララが回避した方向に軌道変更したのだ。
これには回避しきれず攻撃がクリーンヒットする。
「うっ…こんなにも軌道を簡単に変更できるなんて…。」
「名づけて『レールチェンジ・ぶちかまし』っす。」
「両者、見事な戦い方を魅せてくれます。」
「どんな防御も突き破る怪力、どんな攻撃も防ぐ瞬発力。相容れない形質を両者は持ってるからね。まさに『矛盾』と言う言葉の元となった話を現代で検証しているような試合ね。」
「ほぅほぅ。おーっと!此処でタカ選手は組みに行ったぁ!」
得意の組みあってからの投げに移行しようとするタカ。
だがクララは動じず、そのまま四方投げで制した。
「流石はクララ選手!見事な投げ技でございます!」
「あいたた…こっちも!」
今度は組み合った瞬間に閂に捉え、そのまま足をかけて浴びせ倒しを喰らわせる。
腕を捕らえられている為に返すに返せない状況のクララは技に掛かってしまう。
そのまま寝技に移ろうとするがクララはスルリと抜け出した。
「惜しい。」
「寝技は不慣れなのですね。」
「正直不慣れっす…しかし!」
またも組み合い、上手投げに移行する。
しかし、今度は合気道技法の体の転換で回避しようとする。
「クララ選手、またも回避の姿勢です!」
「上手投げからですから後が相当不利ね。」
そして足を巧みに動かし、上手投げを回避する。
「タカ君、今のは良かったです…しかし、私の技法には」
「その技法待ってましたよ!」
「!?」
そういうとクララの腕を掴み、強引に引き寄せる。
「奥義 巻き落とし!」
そしてそのまま巻き込む様に投げ、地面に叩きつける。
受身を取れず、強く体を叩きつけられたクララは立ち上がれずダウン。
「勝負あり!勝者 嶋 崇史選手!」
「最後は珍しく力ではなく技で制したね。」
勝利のコールが上がるとタカはクララに肩を貸し、そのまま後にする。
「やっぱりタカ君には適わなかったな…。」
「いえいえ、クララさん。勝負は時の運です。全てをかけても勝てないときだってあるんです。自分も正直アレが思い浮かばなかったら負けましたから。」
「ふふ…私の分も頑張ってくださいね?」
「勿論です。」
そして客席。
「お〜い、お前ら。いい試合だったじゃねぇか?」
「あざっす。」
「さて次の対決は」
「続いてのカードは此方!ロア・ヴァネッサ選手VSゴンザレス・オズボン選手!」
「ロアだな〜頑張ってこいよ〜。」
「あぁ…。」
そして舞台へと赴く。
-第37話 完-