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Re: 気まぐれストリートファイト ( No.124 )
日時: 2012/02/19 15:09
名前: 白樫 ◆fd.I9FACIE (ID: glXVlHlM)
参照: http://www.kakiko.info/bbs_talk/read.cgi?no

〜第41話 インテリVSバカ〜

「さぁ第4回戦の初戦。舞台に立つのは此方、マーシャルアーツの達人、月砕 ロア・ヴァネッサ選手とバーリトゥードの達人、アルバトロス ボル・トロウズ選手です!
「どっちも総合格闘技ね…なかなかよさそうじゃん?だけど片方はICPOに務めるインテリ、そしてもう片方はアルバトロス(アホウドリ)の異名を持つ通りアホ。何か勝負見えてるような…。」
「こんな奴が俺の相手なのか…。」
「こんな奴とは何だ〜。オラがダイナミックなバーリトゥードを……………。」

ボルは発言の途中で言葉を止めてしまった。
誰もがその行動を不思議がっている中、ボルはその口を開いた。

「オラ、何て言おうとしてたんだっけ?」

その言葉に会場はずっこけた。
ロアやロン、累加も呆れた表情だ。

「俺が戦うのは本当にこいつなのか?」
「えぇ、勿論。」
「そしてこいつが4回戦まで勝ち抜いているのか?」
「勿論。」
「何かの間違いじゃなくて?」
「えぇ。」
「はぁ………。」

ため息を漏らすロア。
無理もないであろう、自分が言おうとしたことさえも忘れてしまうほどの馬鹿が相手なのだから。
半分認知症ではないのであろうか、そうロアは感じた。

「しょうがない…始めてくれ。」
「解りました。それでは、レディーファイト。」

遣る瀬無くゴングの音が響き、ロアは遣る瀬無くボルに向かう。
しかし、それに対してボルはロアに向かって駆けって行き、ショルダータックルを放つ。
だがロアはそれを簡単に回避して後頭部にパンチを放つ。

「うわぁ。」
「まだまだだ。その頭脳でこの場に来れる実力を見せてもらうぞ!」

ロアは追い打ちをかけるかの様にボクシングスタイルでワンツーストレート、ムエタイスタイルで強烈な膝蹴り、柔道スタイルで背負落とし、さらに倒れたボルの顔面めがけて正拳突きを繰り出した。
これにはボルは抵抗する手段は無く、只その攻撃を受けるのみであり、倒れたまま動くことはなかった。

「勝負あ」
「んっ?ちょっと待って!?」

小五郎が勝者の名乗りをあげようとしたが累加に止められてしまう。
その直後、ラッシュを受け続けて動かなくなっていたボルが起き上がったのだ。

「あ〜…ちょっと居眠りしていた間に…何が起こったのかな?」
「はっ?」

何と、ボルは居眠りをしていて全くダメージを食らっていなかったのだ。
馬鹿で神経が鈍すぎると言うのがこうも役に立つと思っていなかったロアは困惑してしまう。

「(どういう事だ!?何故居眠りしていただけでダメージを受けない!?神経が太いとか鈍いとかそういう問題じゃないぞ!?ど、何処まで非常識なんだこいつは!?待てよ、さては4回戦まで勝ち残れたのもこの能力の御陰なのか!?だとしたら今回の戦いで一番強敵と言うわけだ。侮れないな、この大会は…。)」
「それじゃあ今度はオラの番だぞ〜。」
「…はっ!」
「肘ボム〜!」

ボルはロアに向けて強烈な走りながらの肘打ちを放つ。
だが流石はロア、混乱状態であって見事にその攻撃を貰うものの着実に受身を取り、ダメージを最小限にまで抑える。

「オラのダイナマイトなバーリトゥードを見たか〜?」
「その程度の技でバーリトゥードを制することなどできぬ…。」
「行ったな〜。もう一度肘ボム〜。」
「おっと。」

再び肘ボムを放つがロアはそれを的確に交わす。
だが、ボルは何度も何度も肘ボムを放ち、決して止めようとはしない。
不振に思ったロア、そして同じく不振に思っているのは実況&解説。

「どうした事でしょう!?同じ攻撃ばかり繰り返しています!」
「…多分あれね。あいつが馬鹿すぎて技が一個しか覚えていないか、お気に入りの技だから連発するっていう感じがつよいわね。」
「そうですか、やはり馬鹿の一つ覚えとはこういうことなのでしょうか?」
「バカバカ言うな〜!」
「認めろ…お前は馬鹿だ…。」
「くそ〜。」

やけくそになって突進を行うボル。
当然ロアに通用する筈も無く、あっさり交わされ、同時に転んでしまう。

「う〜、痛た〜。」
「(どうやら起きている間は痛覚はあるらしい…と言うことは眠りに作用しているのか…。)」
「こなくそ〜、こっちも肘ボム以外に技があるもんね〜!肘爆弾!」

先ほどと同じく走りながらのひじ打ちを放つボル。
それをロアはいとも簡単にいなし、後頭部に強烈な一撃を放つ。
しかし。

「う〜ん、何が起こったの?」
「やはりな…攻撃されると眠る性質か…だったら話は早い。」
「何をごちゃごちゃ〜…え〜い。」

今度は無茶苦茶にパンチを放った。

「ボル選手、最早バーリトゥードじゃありません!無茶苦茶です!」
「いっそボクシングに転向したらどうよ…。」
「はぁ〜…まっ、とりあえず対処法が分かったから…。」

そう言うとパンチを両手で受け止め、顎にめがけて蹴り上げを放つ。

「ZZZ…。」

当然のごとく眠りでダメージを完全にシャットアウト。
しかし、ロアはそれを待っていた。

「はぁっ!」
「ZZZ…。」

スピアータックルでテイクダウンを奪い、そのまま眠っているボルに上四方固めを極める。
勿論ボルは眠ったままなので抵抗はしない。
そのまま3カウントが取られる。

「勝負あり!勝者 ロア選手!決まり手は上四方固め!」
「ふんっ…。」
「…あれ?もう終わってたの?」
「最後まで馬鹿でしたね。」

そして…。

「お疲れ〜精神的に参っただろ?」
「もちろんだ…出来れば二度とやりたくはないな…。」
「さぁ、次の対戦は此方!嶋 崇志選手VSティダート・サクン選手!」
「自分っすか…行ってきます…!」
「気張って行けよ!」

〜第41話 完〜