ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 気まぐれストリートファイト キャラの名前を一部変更しました ( No.127 )
- 日時: 2012/02/19 15:18
- 名前: 白樫 ◆fd.I9FACIE (ID: glXVlHlM)
〜第42話 真・地上最強の打撃型格闘技〜
「さぁさぁ、選手入場です!先ずは此方!この超怪力少年にもう説明はいらないでしょう!投げの白犀 嶋 崇志選手!」
「よしっ、頑張りますか。」
「対するは此方!自慢のスピードとパワーから繰り出されるビルマ拳法が本日も嵐を呼ぶ!剛脚フロッグ ティダート・サクン選手!」
「この試合、俺、勝利する。」
両者、早速にらみ合いを見せる。
お互い牽制し合っているのだろう。
「それでは始めます!レディーファイト!」
ゴングが鳴り響くと同時にタカは早速ぶちかましを放った。
ティダートはそれを目に捉えると一瞬身を低くした直後、強烈なハイキックを放つ。
タカはこれをよけることが出来ず、早速ダウンを喫した。
「イテテ…一風変わった拳法ですね…。」
「拳法?違う、これ、『ラウェイ』。」
「おや?これはこれは私としたことが格闘技の名前を間違えてしまうとは。」
「いや、間違えてはないわ。ラウェイはビルマ拳法、バンドー空手とも呼ばれてるんだから。まぁ、実際はそんな感じの拳法の類じゃなくてキックボクシングの類だけどね。言うなればミャンマー式キックボクシング。」
「どんな感じのキックボクシングなのでしょうか?」
「まぁ、ムエタイに頭突きをプラスしたようなものね。理論上ムエタイよりこっちが最強よ。」
「そう、この格闘技最強。」
「何を!相撲の方が強いです!最強論ありですから!」
再び立ち合いの姿勢を見せるタカ。
それと対照的に蹴りの姿勢を崩さない。
「おっと、これは先程の蹴りを警戒しているのでしょうか、手をだしてきません。流石にタカ選手の苦手な人物となるのか?」
「まぁ、さっきの受ければわからなくもないわね。」
「お前、俺の蹴り、破れない、俺、勝つ。」
「う〜ん…難しい。」
タカは立ち合いの構えから微動だにしない。
一方、観客席は…。
「こりゃやりづらいだろうな〜。ロン、お前も思うだろ?」
「あぁ…パワーだけなら嶋が有利であろうが向こうは瞬発力で迎え撃つからな…一瞬の威力なら五分と五分だろう…。」
「おーっと、此処でタカ選手が動く!立ち合いの姿勢を解いたぁ!」
「まぁ、そうなるわね。」
その時、立ち合いを解いたタカは立ち合いを解いた状態でティダートに歩み寄る。
ティダートも警戒している様子で一定の距離を保とうとしている。
「互いに牽制しあってます。累加さん、ここからどうなると思います?」
「そうねぇ…解らないわよ。」
「やはりそうですか…っておーっと!此処で両者、沈黙を破ったぁ!」
互いに走りよる両者。
ティダートはジャブを次々とラッシュで決めていき、タカは圧倒的なパワーと頑丈さで強引に張り手を決めていく。
しかし、ティダートもそのパワーを極力受け流し、クリンチで捉える。
「此処でティダート選手!首相撲を決めたぁ!」
「3回戦で落ちた奴言ってた、ムエタイはクリンチ。だから、決める!」
そのままティダートはそのままゴラスがやった様に膝蹴りの連発を図る。
「これは大ピンチです。ロン選手みたいに呼吸法を使えず自らの筋肉に頼るしかないのか。しかし、ティダート選手のラッシュは止まりません!」
「これで俺が勝つ、そして故郷に錦飾る、弟達養う。」
「ますますやりづらいセリフね…だけどほら。」
「ぐおぉぉぉ!!!」
タカはフックされているがそれをお構い無しに上体を起こす様にしてティダートを持ち上げる。
流石は相撲をしているだけあって首の力は並みではない。
「な、な、な、何とタカ選手!自らの首の力だけでティダート選手を持ち上げたぁ!」
「お返しと行きますかぁ!」
そのままクリンチを外してティダートを横向きに肩に担ぎ上げるようにして持ち上げる。
「相撲48手奥義 撞木反り!」
そのまま跳躍しつつ全体重を乗せて後ろに倒れ込む。
「タカ選手の必殺の撞木反りが決まったぁ!コレは痛い!」
「だけどまだ勝負はついてないわ!見て!」
「…まだまだ…やる…弟達養う!」
「そちらに事情はあれどこっちも負けるわけにはいかないんですよ!」
両者、インファイトに持ち込んで再びラッシュの嵐を見舞う。
どちらも今度は正真正銘のノーガードであり、しかも一瞬だけなら互角の力を見せる故にその激しさは計り知れない。
「ラッシュのオンパレードが激しく続いてます!どっちが勝つのかは最早神様にもわからないでしょう!」
「天下の宝刀と言えるセリフね…さぁ、どっちが勝つかな?」
両者のラッシュは終わらない。
兎に角打って耐えての繰り返しを続けている。
しかし、全く収まる様子は見せなかった。
そして何10分が過ぎただろうか。
そこにはボロボロの2人が覚束無い足取りで立っていた。
「気力だけで立ち続ける2人!そろそろ決まるか!?」
「ぜぇ…ぜぇ…お前…これで…やる…。」
「こっちも…この…一撃で…終わらせる…予定…です…。」
そして両者、構える。
「「うおぉぉぉぉ!!!!!」」
そのまま両者、強力な頭突きを見舞った。
額と額がぶつかり合い、沈黙が生まれる。
———刹那、その沈黙が破られた。
先にダウンしたのは…ティダートだった。
「勝負あり!勝者、嶋 崇志選手!決まり手は頭突き!」
「首の図太さの差で勝ったわね。」
「弟…妹…済まない…。」
「気を落とさないでくださいよ…貴方ならプロで頑張れますって。」
「プロ…?」
「プロのキックボクシング目指して見たらどうです?ファイトマネーで養えますよ。勝てればの話ですが。」
「…不思議な奴…敗者に助言なんて…。」
「趣味ですよ。その気になったのなら今まで以上に努力するんですね。それでは。」
そのままよろけつつも客席へと戻っていく。
そして席に着くや否や早速ダウンを喫する。
「おーい、タカー。大丈夫かー?」
「何とか…。」
「全く…あれだけダメージ受けて立ってられるとはな…お前の精神力には驚かされる…。」
「続いての勝負はこちら!荒垣 健吾選手VSリチャード・バーミヤン選手です!」
「あっ、俺だ。」
「んじゃ、行ってこい。ダークホース。」
「誰がダークホースだよ…まぁ、いいや…行ってくるぜ。」
そして舞台へと健吾は赴いていった。
〜第42話 完〜