ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 気まぐれストリートファイト キャラの名前を一部変更しました ( No.128 )
- 日時: 2012/03/13 17:50
- 名前: 白樫 ◆fd.I9FACIE (ID: 4Ru1i4kp)
〜第43話 喧嘩の哲学〜
「今回の勝負は此方!地下街の超技巧派トップレスラーであり、そのガタイに隠された知能で対戦相手を翻弄する男!黒熊 荒垣 健吾選手!」
「っしゃあ!やってやるぜ!」
「対するは此方、サンフランシスコ・ベイエリアの鉄拳伝説を築き上げた男が今宵、武道大会でその伝説級の拳を唸らせる!路上の覇王 リチャード・バーミヤン選手!」
「プロレスか…相手に不足はねぇ。さっさとゴング鳴らせ。」
「ではお望み通り。レディーファイト!」
ゴングを鳴らすと同時にリチャードは健吾に向かってダッシュで接近をする。
「早速リチャード選手、相手に不利なポジションにダッシュで向かう!」
「けっ、間合いの対処はもう出来てんだよ!」
そのまま健吾は相手を捕まんと言わんばかりに両手を広げ、その場へ待機をする。
そしてリチャードが自らの間合いに入ると同時に掴みかかる。
しかし、リチャードはその掴みをくぐるように体制を低くし、スライディングキックを放った。
それと同時に倒れ込む健吾にマウントポジションを取り、顔面めがけてパンチの連発を繰り出す。
「リチャード選手!流れる様なスライディングから強烈なマウントパンチを繰り出す!しかし、途轍も無く奇抜な攻めを見せますがコレはどういった格闘技でしょうか累加さん。」
「…へっ?あれ格闘技じゃないけど?人によっては格闘技に分類されるかもしれないけど。」
「………どういう事でしょうか?」
「使用スタイルの確認しなよ…あれはね、喧嘩拳法ね。」
「ケンカ?喧嘩ってあの路上の?そして拳法って?」
「鈍いわね…つまりは何の格闘技もやってないのよ!まぁ要するに紫庵なの!紫庵と同じなの!」
「あっ、そう言う事ですか。」
『…何か微妙に萎える。』
「気にしない事ね!まっ、アンタと違って向こうは色んな格闘家と戦って技術を盗んで来たって所ね。」
「おーっと!此処で健吾選手!脱出だぁ!」
「理解したのかね…。」
話している間に戦況は一片し健吾は相手の首を挟んで横に投げ飛ばし、脱出。
そのまま掴もうとするが間合いを離され、失敗に終わる。
「ちっ、あと少しだっつうのに………。」
「お前みたいなデカブツは大技狙いたがる…楽に行けそうだったけど今回は違うみたいだな…。」
「そう楽に済むと思うなよ…ほらよっ!ベアナックル!」
全力のストレートを放つ。
しかし、リチャードはそれをスリッピング・アウェー(回転受け流し)で回避したのだ。
「なっ!?」
「けっ、どいつもこいつも格闘技やってりゃ強くなれると思いやがって…観客の目を気にする三文芝居の技術何てストリートにゃ必要ねぇ。必要なのは実践に必要な技術だけなんだよ。」
そのままアウェーの勢いで回転し、拳を構える。
「ブーメランフック!」
そしてその勢いのままフックを放つ。
その拳は健吾の頬を的確に捉え、ダウンを奪う。
「あまりの威力に健吾選手、ダウンだぁ!」
「流石喧嘩。奇想天外に攻めるわね。」
「けっ…やっぱり大したことなかったな…。」
「そう言ってられるのも今のうちってモンだよ!」
気力を振り絞って立ち上がる健吾。
リチャードはそれを見て驚きつつも笑みを浮かべる。
「へぇ…面白いじゃねぇか?」
「三文芝居かどうか試してみろや!」
自らの頬を叩いて鼓舞する健吾。
地面にタンを吐き捨て、構えるリチャード。
そのまま相手の様子をしばらく見ていたが健吾が動く。
「健吾選手、ダッシュからのエルボー・バット(肘打ち)を放つ!」
エルボーを決める健吾だがリチャードはそれを跳躍で回避し、ローリングソバット(飛び回し蹴り)を放つ。
「けっ…これで…!」
「残念だったなぁ…。」
健吾はその足を掴んで防御しており、そのままリチャードの動きを封じる。
そしてそのまま右太股と肩を捉え、後方に投げつける。
「健吾選手、キャプチュードを決めたぁ!このまま押し込めるのか!?」
そのままフォールに移行しようとする健吾。
しかし、リチャードは健吾の顔面に膝蹴りを入れると脱出を許す。
「ちっ………。」
「なかなかやるじゃねぇか…こっちも効いたぜ…だけどな!」
そのままリチャードは接近するとボクシングの如くジャブのラッシュを放つ。
しかし、健吾はそれを的確にガードするとローキックを放ち、リチャードのラッシュを止めた。
さらにもう一発ローキックを放って相手の足を掬い、足を掴む。
そしてそのまま回転を始めた。
「健吾選手!ジャイアントスイングだぁ!」
「これでどうだぁ!」
そのまま健吾は投げ飛ばした。
回転により三半規管を麻痺したリチャードは受身を取れずに地面に叩きつけられる。
さらに健吾はリチャードを俯せにしてその背に乗り、足を捉える。
「此処で健吾選手!逆エビ固めを決めたぁ!」
「ギ…ギブアップ…。」
「リチャード選手ギブアップ!よって勝者、健吾選手!」
「っしゃあ!」
「…たかが三文芝居だと思ったらこの様か…俺もこの技術盗まねぇとな…。」
そのまま気を失うリチャード。
健吾は客席に戻る。
「お疲れ〜。」
「また勝っちまったよ。」
『微妙にイラつく。』
勝ち誇ったのを自慢する健吾。
「続いての勝負はこちら!村雨 崙選手VS宗 洲真選手!」
「俺だな…行ってくる…。」
「ロン様〜。頑張ってくださ〜い。」
「お前なら余裕なんだから楽に行けよ。」
「ふんっ…。」
そしてロンは舞台へと昇る。
〜第43話 完〜