ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 気まぐれストリートファイト オリキャラ&コメ募集中 ( No.15 )
- 日時: 2011/04/29 14:32
- 名前: 青銅 (ID: zXyKVICa)
〜第4話 翻子拳VS八極拳〜
「八極拳・・・兄貴と同じく中国拳法を・・・。」
突如現れた謎の茶髪の青年『崙』。その隣には黒髪の女が一人。
崙が名乗った拳法は八極拳。
驚きを隠せないタカ。それと裏腹に余裕の表情を崩さないレオン。
「村雨 崙?どっかで聞いたことあるような・・・。」
「この街の西地区で『漆黒の狼』の異名を馳せている・・・ついでに『ロン』と呼んでもらえれば結構・・・。『烈火の獅子』の異名を持つレオン・・・貴様と勝負しに来た・・・。」
「面白いじゃねえか。タカ!」
「話は決まりだ・・・リイフェン!」
「「はいっ。」」
タカと『リイフェン』と呼ばれた少女は先ほどの客と新しい客を呼び寄せる。
そして客は円状にレオンとロンを囲む。
「両者よろしくて?」
リイフェンがそう聞く。
勿論、両者はイエスと答える。
「それでは行きますよ〜。はじめ!」
タカの合図と共に勝負は始まった。
「先ずこっちから行くぜ!」
レオンは相変わらず先手をとってパンチの連打をかます。
しかし、ロンはそれをいとも簡単にかわして行き、レオンの懐にもぐる。
「速さだけが戦いではない・・・崩!」
ロンは密着した状態でレオンの胸に掌をおく。
そしてそのままゼロ距離で掌底打ちを繰り出した。
その威力にレオンは呻き、後退する。
「うぐっ・・・!密着状態であんなに威力が出るだと・・・!?」
「八極拳の真髄は寸頸・・・密着した状態での戦いを主とする・・・。」
構えを崩さないロン。
レオンも何とか構え直す。
「ますます面白いじゃねぇか・・・こっちも本気出すか!沖拳!」
腕を思い切り伸ばし、突きを放つレオン
しかし、ロンはそれを回避し、再びレオンの懐に入る
「突」
「させるかぁ!!!」
その動きを読んでいたのか、レオンはロンのみぞおち目掛けて突きを放つ。
しかし、ロンはその突きを難なくかわし、逆にレオンに突きを放った。
「な、ナンだとっ!?」
よろけるレオン。
ロンは突きに続き、肘、肩、頭部、そして背部での打撃を連続で放つ。
「・・・っ!」
「・・・やはりその程度か・・・。」
ダウンするレオン。
それを見下したように言葉を突き刺すロン。
「さすがロン様〜。リイフェン感激ですわ〜。」
「そんな・・・兄貴が負けるなんて・・・。」
見物していたタカとリイフェンもそれぞれの感情をむき出しにする。
その時だった。レオンは立ち上がったのだ。
「なっ・・・貴様・・・!」
「ヘヘッ・・・これくらいで負けてたまるかってんだ・・・。」
再び構えるロンとレオン。
しばし沈黙が走る。
レオンはその沈黙を破り、言った。
「なぁオイ・・・今から俺は全力の拳を出す・・・テメェも全力で来い!」
「・・・・・。」
ロンはその言葉にうなずく。
そしてレオンはロンに向かって走りよった。
「行くぜ・・・オレの全力の拳・・・受けてみやがれぇ!六合拳!」
「・・・っ!」
ロンは先ほどの様にそれをかわそうとした。
しかし、その拳はロンの想像を遥かに超えていた。
非常に素早く、且つ強大な気を感じる、まさに獅子のごとき威厳を持つ拳だった。
その拳はかわそうとしたロンの肩に掠る。
その後、ロンはレオンの懐にもぐった。
「汝・・・精進する心を身につけよ・・・!頂伸肘!」
ロンは密着した状態で強力な肘打ちをかます。
レオンは派手に吹き飛ばされ、起き上がることは無かった。
そしてタカは言った。
「しょ・・・勝負有り!!!」
その後、観客はロンの勝利を称え、硬貨を投げる。
しかし、ロンは硬貨に見向きもしなかった。
「・・・帰るぞ・・・リイフェン・・・。」
「えっ?ロン様。お金は・・・。」
「そんなもの如何でも良い・・・。」
そしてロンとリイフェンは去った。
「えっと・・・あ、兄貴!」
タカはレオンの元に駆け寄った。
そして気を失ったレオンを近くの建物まで運ぶ。
その後はレオンの治療をするタカ。
そして数時間はたったのだろうか。
レオンを見守り続けるタカ。
そして・・・。
「うっ・・・。」
「あ、兄貴!」
レオンは気絶からさめたのだ。
「此処は・・・イテッ!」
「兄貴、凄い一撃を食らったのでしばらく安静に!」
「イテテ・・・俺は負けたのか?」
「言いづらいのですが・・・負けました・・・。」
無念の表情でそういうタカ。
しかし、当のレオンは笑顔でこう言った。
「そうか・・・負けたのか・・・。」
「あ、兄貴。負けたのに何でそんな笑顔で・・・。」
タカは驚いたようにそう聞く。
「何、オレが負けたってことはオレより強いヤツがいるってことじゃねぇか。そう考えると俄然燃えてきたぜ!イタタ!」
気合が入ったようにガッツポーズをするが戦いのときのダメージで蹲るレオン。
「だから安静に!」
「悪ぃ悪ぃ・・・そんじゃ回復したら早速修行だぜ!」
「回復したらですよ。」
さらに気合が入るレオンにそれを呆れながらも笑顔で言うタカ。
その頃、ロンはとある空き家にいた。
「ロン様〜。何で先ほどのお金を取らなかったんですか〜?ロン様らしくないですわよ〜?」
リイフェンはロンに問い詰める。
ロンはその重い口を開いた。
「リイフェン・・・あの勝負・・・もし、アイツが俺の試合の前の5対1が無かったら・・・もし、完全な状態で戦っていたらどうなっていたと思う・・・?」
「えっ?それはロン様が勝つに決まっているではないですか?」
リイフェンがそう答えるとロンは上に纏っていた服を脱いだ。
「・・・っ!」
驚いた表情を浮かべるリイフェン。
ロンの肩には先ほどの六合拳で掠った傷が付いていた。
その傷は最早掠ったというレベルでは無く派手に『削られていた』のだ。
「もし・・・この技が完全な状態で放たれていたら・・・俺はこの一撃で沈んでいただろう・・・。」
「ロン様・・・。」
「俺が再戦を望むのは初めてだ・・・レオン・・・この傷の痛み・・・忘れぬぞ・・・。」
何かを思ったかのように笑みを浮かべるロン。
リイフェンはその傷を心配そうに見つめる。
「おっと・・・傷自体は大したことはない・・・それより少し空腹でな・・・。」
「ハァ〜イ♪では少々お待ちを〜♪」
返事を聞けばリイフェンは上機嫌に戻り、台所に行く。
ロンは外の様子を見るように窓の外を見る。
「・・・俺も次までに修行をしなければならぬな・・・待っていろ・・・烈火の獅子レオンよ・・・。」
〜第4話 完〜