ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 気まぐれストリートファイト ( No.2 )
日時: 2011/04/26 20:49
名前: 青銅 (ID: zXyKVICa)

〜第1話 喧嘩というのは唐突に〜

此処は地下都市。
政府の眼が薄すぎると評判の街。
政府の少ないこの街は大きな犯罪こそ少ないがそれでも荒れていた。
そこでの一番の娯楽は何といってもストリートファイト。
毎日2人の男が殴り合い、観客達が勝った方にそれに見合った金を巻く。
血を見るのが好きな観客にぴったりだ。
そして今日も道端に人が集まり観戦だ。

「へっ、雑魚が。」

そこに立っていたのは赤い髪をした青年。
倒れていたのはガタイの良い黒人の男。
試合前に一見すれば誰もが黒人の方が勝つって思う。
だけどそれは古い常識。
今の戦いは見た目じゃなくて実力だ。

「次に逢うときはもっと実力つけな。」

そのまま立ち去る一人の青年。
その時一人の青年が駆け付ける。

「今日も快勝ですね。兄貴。」
「当たり前だ。俺はそこらの人間とは違ぇ。」

そいつは相棒のようだ。
彼らは徒党を組んでいるのだ。
二人だけで徒党と呼べるかどうかは置いとくとして。

「さて・・・稼いだし・・・どっかでウマいもんでも食うか・・・。」

立ち去ろうとした2人組。
しかし、とある大男が行く手を阻む。

「あぁん?誰だテメェ?」
「貴様らか・・・さっきのヤツを倒したのは・・・俺はこの街一番の喧嘩屋だ!テメェらをボコボコにしに来た!勝負だテメェ!」

いきなりストリートファイトを申し込まれた青年。
この街ではよくあることだ。

「あぁ・・・良いぜ!やってやろうじゃねぇか!タカ!」
「ハイハイ。皆様〜ストリートファイト始めるよ〜!」

タカと呼ばれた少年は周囲に大声で叫んで客を呼び寄せる。

「オーディエンスも必要だろ?」
「気が利くじゃねえか。この大衆の中でテメェを凹してこの街の笑い物にしてやるぜ。」
「そうなればいいけどな。」

そして観客は円状に囲み、観戦する。
赤髪の青年と大男は共に構える。

「それでは開始です!」
「うぉぉ!!!」

開始と同時に大男はその剛腕を振り上げ、振り下ろす。
赤髪の青年はそれをさける。
振り下ろされたところにはクレーターが出来上がる。

「へっ、外したぜ。」
「凄い威力だぜあんなのに当たったら五体満足じゃすまねぇな・・・。」
「よく解かってるじゃねぇか。俺はこの腕で過去に20人をあの世行きにした経験がある・・・お前など地獄に叩き落としてくれるわ!」

そう言ってまた腕を振り下ろす。
それを軽いステップで交わす青年。
次々に出来上がるクレーター。

「ちょこまかと・・・動いてんじゃねぇ!」

その剛腕を振り下ろす大男。
しかし、青年はそれを軽く交わすと今度は懐まで接近する。

「懐じゃその剛腕は生かせねぇぜ・・・行くぞぉ!!!」

青年はその無防備な腹に連続パンチをぶちかます。

「ぐふっ・・・こ、この技は・・・中国拳法だな・・・。」
「よく解かってるじゃねぇか・・・俺は拳法家。拳法が生かせる道は此処より他はねぇ。」

そう言ってまた間合いを離す。

「この餓鬼が・・・舐めた真似してくれるぜ・・・。」

そう言ってまた剛腕をたたきつけると青年はそれを交わして相手の顔面に蹴りを入れる。
大男は悶絶した。

「うぉぉ!!!この野郎がぁ!!!」

めちゃくちゃに腕を振り回し、攻撃に出る。
しかし青年はその攻撃を掻い潜り、また懐に潜り込んだ。

「心得のまったくない奴が・・・最強と語るんじゃねぇよ・・・大雄拳!!!」

青年の拳が大男の鳩尾にクリーンヒット。
大男の体が浮いき、落下。
大男は気絶した。
それと同時に観客から大量の硬貨が巻かれる。

「へっ、ざまぁ。」
「やりましたね兄貴。」

そう言うとタカは硬貨を拾い上げる。
青年は大男の頭に足をのせ、高らかに叫んだ。

「俺はレオン!擢脚翻子拳の使い手だ!全員この名前を覚えておけ!」

〜第1話 完〜