ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 気まぐれストリートファイト オリキャラ募集&参照400突破! ( No.97 )
- 日時: 2011/07/13 21:58
- 名前: 青銅 (ID: 74hicH8q)
〜第31話 霊魂と霊媒師〜
「続いての勝負は此方!明 月霊選手VSエーゼ・ムーミア選手!」
「お〜、メイの出番か〜。」
「がんばってくださいよ。」
「がんばるアルよ〜。」
そう言って会場へと足を運ぶメイ。
そして…。
「さぁさぁ今回は此方!霊を操り戦うグラマーなクーニャン!冥界の送り人、明 月霊選手!」
「さぁ、この勝負はいただくアルヨ!」
そういって舞台に入場するメイ。
そして自らのプロポーションをコレでもかと言うくらい披露する。
観客(小五郎も含む)はメイに釘付けだ。
「お〜。」
「何、余所見してんのよ!次進めなさい!」
「おっと、失敬。続いては此方!国籍、経歴など一切不明!その包帯の下は何者なのかも一切不明!謎に包まれた男!ミスターファラオ、エーゼ・ムーミア選手!」
入ってきた男はボロボロのコートに古ぼけた帽子、そして何より全身包帯で身を包んだ不気味な男だった。
男は包帯の中から僅かに見える不気味な眼差しをメイに向ける。
しかし、メイは普段から恐ろしい者(霊魂)と隣り合わせに暮らしている為か、驚く様子は無かった。
一方、客席では。
「なぁ健吾。あの包帯男のデータって無いのか?」
「実況の言うとおりデータが書いてねぇぜ。此処に着てるんだから有名だとは思うけどその記録すら見つからねぇんだ。」
「一体どんな闘技使うんだろうな?」
エーゼの事を調べようとしたレオンと健吾。
記録が書いていなかったために不審に思っている。
「さ〜て、ミイラ男。アタシが成仏させてやるネ!」
「それでは始めます!レディーファイト!」
合図と同時にメイはエーゼに向けて走って行き、先制攻撃に霊5体分を拳に籠め、パンチを放った。
その拳は、見事にエーゼの顔面を捉え、エーゼは思いっきり飛ばされる。
「どうネ!アタシの拳はかなり効くアル…ヨ…。」
「………。」
吹き飛ばされたエーゼは何事も無かったように立ち上がった。
力を抑えていたとはいえ普通ならかなりのダメージを与えるはずの拳。
それを見て動揺を隠せないメイ。
「エーゼ選手!全く動じません!」
「何かどうも人間離れしてるわね〜…て言うか…人間?」
「人間でしょう。ゴーロン選手みたいにゴリラじゃないんですよあの人は。」
「はぁ…。」
「(あ、アタシの拳が全く通用しないアル!?)」
実況を他所に動揺しまくっているメイ。
そしてエーゼはゆったりとした動きでメイに近づくとその鋭い爪で引っかき攻撃を放ってきた。
「おぅ!?」
「………。」
紙一重で交わすがエーゼは続けざまに爪を立てる。
メイはそれを何とか交わすと霊を纏った拳でアッパーカットを放った。
たちまち吹き飛ぶがまたも何事も無かったかのように立ち上がる。
「くっ!アイツ完全にゾンビアルよ!」
「……。」
その後も何回もその拳を喰らわせる。
しかし、その顎を捉えようが顔面のど真ん中を殴ろうが鳩尾に一撃を喰らわせようが男特有の言えない部分に蹴りを与えようがエーゼは全く動じない。
何度倒されても何かに取り付かれたかのように不気味に起き上がる。
「な、何でアルか!?」
何度倒しても起き上がるエーゼに恐怖を覚える。
一方、客席では。
「一体全体何なんだアイツ?」
「痛覚無いのですかね?」
その様子を見ていたレオン達。
エーゼの体質について考えていた。
「…何か引っかかる…。」
「どうした?ロン?」
「ヤツに生気と言う物が全く感じられない…。」
「生気が無い?アイツが既にタヒんでるって言うのか?」
「…俺にはそう見える…。」
「オイオイ、馬鹿言ってんじゃねぇよ。タヒんでたら元も子もねぇじゃねぇか。」
冷静に言葉を話すロン。
それを聞いても信じる気配を見せないレオン。
一方、メイは次々と攻撃を決めているがエーゼは全く動じない。
段々と恐怖から怒りへと感情が変わって来たメイはエーゼに馬乗りをした。
「だぁぁ!!!もうキレたあるよ!この包帯の下のヒドイ素顔、見せるアルヨ!断罪手刀!」
霊を手のひらに籠め、渾身のチョップでエーゼの包帯を切る。
たちまち包帯は地面へと落ちてゆく。
「さ〜て、その面はどうなってるアルか!」
メイはエーゼの頭を掴み、顔を見ようとする。
遂にエーゼの顔が露わになったと同時に客からは恐怖の声が上がっていた。
それは殆ど茶色になった肌に片目しかない目。歯もボロボロで髪も数本のみ、そして何より皮や肉が無い干からびたような体。
例えるならそう、ミイラがその舞台に立っていたのだ。
「びやあぁぁああぁあ〜…!ロン!テメェの言ってた事があってたぞぉ…!」
「まさか…本当にそうだったとはな…。」
「(ミイラ…アルか…?)」
「ヴぅ………。」
エーゼは唸り声を上げるとメイを押し倒した。
そしてメイに向かって爪を振り下ろす。
しかし、メイはそれを止めてエーゼを無理やり投げ飛ばす。
「うぅ……。」
「もうこうなれば対処は簡単アルね。大人しく成仏するアル!」
「………。」
メイがそう言うとエーゼは突進してくる。
それをメイは軽く受け止め、腕から霊を放出する。
「さぁ、成仏するアルよ!」
「………。」
霊に纏われエーゼの体が光りだす。
するとエーゼは半透明になり、空へ飛んでゆく。
「………。」
「さらばアル!」
そしてメイが一旦その霊を腕に纏い、空に向けて放出。
エーゼは成仏したのだ。
「…何が何だか知りませんがまぁ良いでしょう!勝者、明 月霊選手!」
「やったアルよ!」
歓喜に浸るメイ。
一方、客席では…。
「(なぁオイ、タカ。)」
「(はい何すか?)」
「(この小説って格闘技関係の小説だよな?)」
「(そうですけど?)」
「(コレ確実に結○師になってねぇか?)」
「(気にしたら負けです。)」
「(そうか。)」
第4の壁を突き破っていたレオン。
そして客席に戻るメイ。
「どうだったアルか?」
「まぁ、よかったっすよ。」
「フッフッフッ。舎弟。アンタ見る目アルね。」
「そうですか?」
「調子に乗るなよメイ。優勝するのは俺だ。」
「いや、アタシが貰うアルよ!」
「まぁまぁ。」
小競り合いが始まるが何とかそれを止めるタカ。
そして………。
「続いての勝負は見物だぁ!優勝候補同士の対決!累加さん!僕らお笑いの道を諦めてこの道に進んだ戒がありましたねぇ!」
「誰が何時お笑い目指してたのよ!」
「その勝負は此方!法 先丈選手VS驫木 好摩選手!我が同僚の勇士が見られるよ!」
「確かに嬉しいけどひいきはダメなんじゃないの?」
「驫木かぁ…アイツと先丈が戦うのか。どっちもスゲェだろうな。」
「全くですね。」
「『これは凄い見物!』」
その対決に早くもワクワクしていた3人だった。
〜第31話 完〜