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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 終焉の歌姫が謡う時 ( No.2 )
- 日時: 2011/04/24 23:23
- 名前: 玖織 ◆f8ZRFO1MkY (ID: hYVgID.t)
ある時突然光が弾けた。
その光は後に第2の太陽と呼ばれ、大量殺戮兵器として世界に蔓延る事になる。
想像を絶する灼熱地獄は文明と、それを築き上げた人類、地球上に存在する全てを焼き尽くした。
……かに思えた。
いつの間にか造られていた地下のシェルターで、1人の男が笑っていた。彼は1人なのか、否、暗闇の中から幾つかの影が現れた。影は男を囲み、跪くような仕種を見せる。男は静かな笑みを浮かべ、微かに呟く。
「我輩の……闇の、時代だ……」
気付けば微かに腐敗臭が漂っているのを感じる。影は素早く立ち退き、事後処理に向かったのだろうか。男はそれを一瞥し、無駄に装飾された扉を開けた。物々しい雰囲気が漂うその部屋の中には世界中の歴史が詰まっていた。遥か昔に起こった第8次世界大戦の資料をおもむろに手に取る。
全てはこの戦争から始まった。男は微苦笑する。やっと此処まで来た。やっと、我輩は……。いや、気を抜くのはまだ早い。まだやるべき事が山積している。
それにしても……。
我輩が……俺が、こんな男になるなんて、な。
男は第8次世界大戦が起こる十数年前、彼が少年と呼ばれていた頃の記憶を辿った。
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