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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 終焉の歌姫が謡う時 オリキャラ募集中! ( No.66 )
- 日時: 2011/06/19 22:36
- 名前: 玖織 ◆Kqe55SnH8A (ID: Uo8bNy4h)
再び閃光が弾けた。
真紅に飲み込まれる仲間達。
頼れる姉のような存在の魔導師、ルルー。
兄のように接してくれる魔剣の使い手、シエン。
自分達の事を一番に考えてくれる最高の剣士、キール。
神と会話し、治癒魔法を使いこなす少女、マリア。
微かに残った『アレン』の意識で、ぼんやりとする視界の中に仲間を写した。
——自分は何かに飲み込まれつつある。彼は静かに悟った。何かの正体は分からないけれど、それは自分がこの世に生を受ける前からずっとずっと一緒にいたモノのように感じる。自分の中で生き、脈打つ何かは、少なくとも僕の為に僕を飲み込もうとしている。根拠の無い自信に仲間を、そして自分を預けるのか。
『彼』は自嘲気味に微苦笑した。目を閉じ、開ける。
目を開けた彼はアレンではなく、アルテミス・ヴァリアラ・ディーデアだった。
髪はオレンジでは無く黒に。真っ青だった瞳は真紅に染まった。
全てをアルテミスに預ける前に消え行く意識の中でアレンは言った。——皆を、守って。ただ、それだけを。
「ふむ、完全に覚醒したようだね、裏切り者のアルテミス君は」
何故か気に障る声と表情でルジェは笑った。
もっとも障る気があれば、の話だが。今のアルテミスはそんなもの持ち合わせていない。
あるのは怒り、否、殺意のみ。身体の奥から湧き出るような感情は殺意と称するのが相応しい。
ベリアスと悪魔は、何時の間にか消えていた。
煉獄へと連れ去ったのか。それを知るのは闇と風だけ。
その世界にはアルテミスとルジェしかいなかった。
睨み合う両者。
アルテミスの中に沸き立つ殺意が丁度身体を満たした時、
ルジェが消えた。
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