ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

1章 化け物は突然に 1話 ( No.2 )
日時: 2011/05/01 01:09
名前: ロード (ID: 5G1Y6ug9)

「……うぅ……」

俺は目が覚めると森にいた。
全く見覚えのない森で大の字になって横になっている。
頭の向きを変えると右手に刀が握られてるのが見える。

「……思い出した」

俺はその刀を眺めながら呟いた。


【1章 化け物は突然に】


「俺はさっきまで家の蔵にいた。そこでこの刀を見つけ、次に鏡を見つけた。んで、急に鏡が光りだしてそれに触れると……気付いたらここにいる。」

記憶を確認するように俺は呟く。
大丈夫だ、全部しっかり覚えている。
だが、何でこんな森の中にいるかは分からない。
俺は刀を目の前に置いて、あぐらをかいて考えた。


—— そして、考えること一分 ——


「あぁ、そうか」

結論は出た。

「夢か」

実に簡単な結論だった。
だが、非の打ちどころの無い結論だろ?
俺は変な自己満足に浸りながら再び横になった。

この状況が夢であるなら動いたって意味なんかない。
待っていればそのうち目が覚めて、ホコリだらけの蔵に戻るだろう。

そう決めつけて、俺は寝るために目を閉じる。


が、そうはいかなかった。
すぐに俺は起き上がり、傍の刀を手に辺りを見渡した。
見渡すといっても森の中なのだから木以外何も見えない。

だけど、さっきわずかに何かが聞こえた。
多分人の声。
多分女の子。
多分叫んでた。

俺は無言で音に神経を集中させる。
すると、右の方向からまた声が聞こえた。
さっきと同じ声だ。

俺は刀を握りしめると、声の方向へと駆け出した。
さっきまでは動かないつもりでいたのにもかかわらず俺は走り出した。



何だろう……
森の中を走りながら俺は自分の体に違和感を感じていた。

「……体が軽い」

呟いた通り、今の俺は自分の体が軽く感じる。
普段より速く走れるし、走っていても全く疲れない。
息切れすらない。
何でだろう?
夢だからか?
あぁ、そうか。夢だからだな。
俺は妙に納得して更に速さを上げる。

走り続けること数分。
声の主にたどり着いた。
予想通り声の主は少し小さな女の子だった。
普段はかわいらしいであろう顔を今は恐怖に引きつらせている。
だが、きっと俺も同じような顔をしているだろう。

怯える少女の前には恐ろしい獣がいる。
いや、化け物がいるのだ。

ライオンの頭にヤギの胴そして蛇の尾

漫画やゲームでしか会う事の出来ない合成獣(キメラ)がそこにいた。