ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: Closed Fate ( No.6 )
日時: 2011/05/03 19:52
名前: X4 ◆DnM7GZ7i7Q (ID: BL8fZ.Pl)

Vol:4


「…で、ヴァルゲンの状況は今どうなっている? これ以上のカタストロフは避けたい。早急な対応を私は望んでいる。 …貴方もそう思わないか? クライド政府の皆さん方。」
静寂な議会場を壊すかの様に、流暢な口ぶりで男はそう尋ねた。
しかしカタストロフを制御するには、膨大な兵器、および権力を必要とする。
それはクライドでは到底無理な話であり、経済発展は他の惑星と比べ乏しい結果となっている。
ましてやヴァルゲンとの戦争に敗れ、経済制裁の一環として資産凍結、そして兵器全面輸入禁止措置だ。
完全に銀河系で孤立した惑星となった今、戦法としては潜入のみとなってしまった。

「…フィーダン・アーシバハル殿は、実際の状況を見てらっしゃるのでしょうか? 輸入禁止措置、資産凍結…今惑星クライドで行えるものといえば、襲ってくる怪物達を数少ない武器で皆殺しにする事だけだ!」
惑星クライドと惑星セイリとの議論を担当するソル・アーハム・ヴィレンティは、何も知らないフィーダンの論理を見事に裂いた。
輸入を隠蔽する為、秘匿ルートを用いて惑星シューザから武器を調達していた。
もし惑星ヴァルゲンとの戦争に勝利したとしても、輸入隠蔽が表に晒されれば、惑星クライドはテンペダウン条例違反として別の罪でリーダーが捕まり、何も出来なくなるのだ。
だからこそ、何も出来ない。森林から沸く怪物の討伐に勤しむ中、ヴァルゲンは更なる攻撃を予定しているのだ。

「おっと…そういえば、資産凍結、輸入禁止措置の事を頭に入れていませんでしたね…これはすまない。 しかし、惑星セイリは惑星ヴァルゲンと連携するアビス連邦を淘汰する所存です。そしてアビス連邦が消滅した暁には輸入禁止措置を解除してあげましょう。」

「…出来ない事を言う前に、ヴァルゲンの兵器を見ろ!小型ブラックホール作成装置に、10万門を超えるビーム砲台、挙句の果てには太陽爆弾だ!!」

「フ、フフハハ……! そんなもの、惑星セイリの科学力を持ってすれば簡単に排除できる。 どうやら惑星クライドの者共は腰抜けのようだ!滑稽、滑稽だ! これはますます支援したくなりますなぁ…今後の行動に期待しておきましょうか、では失礼します。」
そう言い、フィーダンは議論の場を去った。
クライドの者共は、フィーダンの背中を睨む事しか出来ないでいたのだ…