ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: †十字架に導かれし者† ( No.2 )
- 日時: 2011/05/02 20:17
- 名前: 翡翠 (ID: n0YhO.Hu)
小鳥のさえずりが聞こえるような気持ちの良い春の朝。
気持ちよさそうに寝ている私——雪城梓。
「梓ー!梓ってば!早く起きて!遅刻しちゃうよーー!」
そう、気持ちの良い朝、私の名を呼ぶ私にそっくりな女の子。
その子は——雪城椿、私の双子の妹だ。
「うー……」
何なの朝早くから、私はまだ眠いのに…。
目を瞑り布団に潜りながら、寝ぼけたままの私はそんな事を思っていた。
「もう!いつまで寝ぼけてんのよ、今日は高校の入学式の日でしょ!」
入学式……
何の?高校の…。
あ、あーーーーーーー!!!
ガバッ
という効果音と共に跳ね起きて言った。
「椿、それを早く言ってよ!」
起きて早々、文句を言う私に椿は怒り顔で言い返してきた。
「何言ってんの?あたしは何度も言ったよ」
「嘘だ、私は一回しか聞いてないもん!」
「それは、梓が寝ぼけてて覚えてないだけでしょ!」
む……言い返せない。
だって、椿にいつも朝起こしてもらってるの事実だし…。
それに、私朝は弱いしなぁ。
そんな風に二人で言い合い?をしていると、下の階にいるお母さんから一言。
「二人ともそろそろ学校に向かわないと遅刻するわよー」
お母さんの言葉に急いで制服に着替え、学校に行く準備を整えた私達は声をそろえてこう言い、
「「はーい、いってきます!」」
駆け足で家を出て学校へと向かった。
「はぁ、はぁ、梓、ちょっと待って、速い!」
家を出て数分した所で椿に呼び止められる。
いつのまにか、隣で一緒に走っていたはずの椿が後ろの方を走って私のことを必死に追いかけてきていた。
「ごめん、つい」
後ろの方にいる椿の元に駆け寄り謝る。
息を切らしながら、椿は言う。
「別に、平気だけど、梓は疲れないの?」
椿の言葉に少し考えるようにしながらも思った事を言う。
「んー、少し疲れたけど急がないと入学式に間に合わなくなっちゃうし」
答えた私に椿は一つの提案をした。
「ねぇ、だったら、近道を使って行かない?」
思いもしなかった言葉が椿の口から出てきて驚きつつも私はその提案に賛成した。
〜数分後〜
「たしか、ここを右に曲がると一本道に出て後は道順どおりに歩けば……」
一般道路から道を外れた私達二人は緑に囲まれた細い道を歩いていた。
「ねぇ、一本道って、もしかして、あれの事?」
木々の間にある細い道を示して問いかけると、
「そうそう、あれだよ」
椿は笑顔で答えてくれる。
椿の了承を得た私は一本道の方へ一人で歩き出していた。
そして、知らなかった。
このとき近道を使った事によって私達二人の運命が新たに動き出している事に……。