ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 白い薔薇は悪魔色 ( No.15 )
日時: 2011/05/05 19:26
名前: 華世 (ID: 9QYDPo7T)

■♯3



さすがに少し罪悪感を感じてきた。
やっぱり断ろうと、風夢に声をかけようとした瞬間だった。
風夢は清歌の方を向き、
「大丈夫です。早めに仕上げますから心配しないで」
と心の中を悟ったように微笑みながら言った。
清歌はありがとうと呟き、窓の外を眺めた。
やっぱり心のどこかで、ちょっとした罪悪感が残っていた。

外を眺めていた時、ふと朝の事を思い出した。
うんざりした顔の紅華。
手紙で謝ったって意味が無いと思い、きちんと紅華に謝ろうと席へ向かう。
でもやっぱり、紅華は近寄りがたい。
親友とはいえ、少し怖いオーラを感じる。
シャープな二重、肩の上でぱっつんと切ったショートカット。
その容姿が“怖い”というイメージを引き立たせていた。

恐る恐ると紅華に話しかける。
「紅華……朝の事、本当にゴメンね。私のせいで」
どんな声をかけられるか怖くて仕方がなかった。
しかし、紅華は微笑みながら言ったのだ。
「ああ、清歌となら平気だ」
「え?」
清歌のキョトンとした顔にさらに笑う。
「許すに決まっているだろう。もし、困ったことがあったら相談するのだぞ」
清歌は少し戸惑いながら、
「うん……ありがとう!」
と微笑み返した。

紅華は相談しろと言ったけど、やっぱり悪夢の事は怖くて言えない。
悪夢の中のあの女に呪われそうで。