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Re: 白い薔薇は悪魔色 ( No.20 )
日時: 2011/05/06 15:13
名前: 玖龍 ◆7iyjK8Ih4Y (ID: ZTrajYO1)

■♯5


「ねぇ、アンタ昨日さ、紅華ん家行ったでしょ?」


曇り空のぱっとしない朝は、水季のニヤニヤとした顔と言葉で始まった。


「はぁ?」


こう言い返すしかないだろう。
私は紅華の家には行っても近づいてもいない。
だけど、次の言葉が決定的な証拠になった。


「紅華、殺されたんだってぇ。風夢が紅華を刺してるアンタを見たってね?」


沈黙。

殺された?
私が殺した?
風夢は何を言っているの?

私の死んだ目を見つめて、水季が嫌味たっぷりに言った。


「奏也クンにばれたらどうするのかなぁ?」


何故に奏也君を出すのかが分からないが、私は否定した。
絶対違う。

すると水季は大きな声で叫んだ。
「こいつ人殺しだよ!!!」と叫ぶかと思って、耳をふさいだが違った。


「風夢ぇー!!」


「あ、はい」


水季が呼ぶと、いつもより少し元気がない風夢がこちらへ歩いてきた。

私じゃない。
私じゃないって言って。
風夢。
冗談って言って……。

裏切られたという事実は、岩のような事実が石ころのような期待を砕くようだった。


「私、見ました。この目ではっきり。お願いです、自首して下さい」


「そんな……やめてよね……私じゃないって……」


静まり返った教室に、私の声だけが響く。


今日は、風夢に襲われた。
悪夢。