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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 白い薔薇は悪魔色 ( No.25 )
- 日時: 2011/05/07 18:30
- 名前: 玖龍 ◆7iyjK8Ih4Y (ID: ZTrajYO1)
■♯9
このままだと、本当に殺される。
水季に、呪い殺される。
張り裂けそうな心臓を救う、鐘が鳴った。
先生の声が頭を抜ける。
がたがたと席を立つ音。
生ぬるい挨拶の声。
「休み時間、屋上で待ってる」
自分が自分じゃないみたいだ。
なんだかボーっとして、誰かに操られてるみたいだ。
私の体がふらふらと屋上へ向かう。
外の空気が、私の体を覆った。
かすんだ目には、こちらを見つめる奏也君が写る。
「待ってる」だなんていって、待たせているじゃないか。
私はそのまま、奏也君の方へ。
「……用件は?」
少し顔の赤い奏也君が問う。
私じゃない私は、間髪を射れずに答えた。
「水季に、殺される」
「は?」
私の目から、汁が落ちた。
ぼろぼろ、ぼろぼろ。
あれ、何で泣いているんだろう?
悲しくも無いのに。
偽りの涙が止まらない。
「……水季に殺されちゃう」
「…………」
「だから、だからね……。殺される前に……水季を……殺して……」
「…………」
「お願い」
「……分かった」
あーあ、やっちゃった。
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