ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ガッコウカイダン。 ( No.3 )
日時: 2011/05/07 11:35
名前: 流 (ID: 74qlRYJC)

—Ⅲ—


「そうだよ、ただの噂じゃん!
 誰か本当に逢った人なんていないんだから!」

でも、やっぱり怖いという自分もいた。

「・・・・・・うう・・・やっぱ怖いよう・・・
 香苗のばかあ・・・
 今日に限ってなんで帰れないのよう・・・」

下を向いてそんな愚痴をこぼしながら、

一刻も早く家に着くために早足で歩いていた。

(何もありません様に!何もありません様に!)

そう願って歩いていた。いや、走ると言った方がいいのだろうか。

でも、神様はそんな甘くなかった。

「うん、ポジティブポジティブ!」

そう言って空を見ようとしたとき・・・、

(・・・!? 黒!?男!?まさか・・・まさか・・
  目をあわさなければいいんだ、そうだ、横を通って・・・)

そして、私は男の横を通りすぎて歩き出した。

(・・・案外簡単に回避できるんだね・・・・)

そう思ったとき、

コツ———コツ———— コツ———コツ—————・・・

!?

もしかして・・・もしかしてついてきてる!?

やばい、どうしよう・・・

どうしよう、どうしよう・・・・!!

家まで走る?体力がもたない!

でも・・・・!?

走るっきゃないのかな・・・

「・・・!!」

そうして私は走った。

全速力で走った。

追いつかれないように、全部の力を振り絞って。


————??

「あれ?」

男はもう追ってきてはいなかった。けど・・・

「ここは・・・?」

わからない。

ここは何処?

走っているうちに知らない路地へ飛び込んだのか。

いや、確かに私は真っ直ぐ、家の方向へ走ったはず・・・

「!」

————なぁ、知ってるか、異次元に連れてかれるって噂!・・・

もしかして・・・

———————一人で帰ってると、いつの間にか
       知らないところにいるんだってさ・・・

ここは・・・異次元?

「そんな・・・本当に・・・?」

ありえない。異次元なんて、そんなあるはずが・・・

とにかく、人を探そう。

「誰か、誰か・・・」

歩いていると、そこには・・・

「学校・・・?」

学校なら、学校なら人がいるかもしれない。

大人でも、子供でも、

誰でもいいから・・・

ちょっと怖いけど、行くしかない。

「古ッ・・・」

歩くたびに、ギシギシと音がする。

今にも床が抜けそうだけど・・・大丈夫かな。

「だ、誰かいますかーっ!」

とりあえず言ってみたけど、

こんな古いところに、人なんかいるのだろうか。




————とりあえず、教室を全部回ってみたが、
    人がいる気配もなく、もちろん人はいなかった。

「図書室とか、体育館とか・・・
 いるかもしれないけど・・・」

もう私のほとんどの希望は消えていた。


・・・? 張り紙?

【元気 希望 勇気】

目標みたいなものかな。

「希望、か・・・」

もう、早く帰りたいよ・・・


———ギシ ———ギシ


「!?」

誰か・・いるの?

「誰・・・?」

「!?」

その足音の主は・・・


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