ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 真・瞳の中の欲 ( No.1 )
日時: 2011/05/07 18:14
名前: ねーぷる。 (ID: 0ZFQDflb)

+序章

「…ねぇ、燈」
「何?美琴」
「Xって、何の為にあるんだろうね」
「?どういうこと」
 突然、ふと口にした言葉。
 燈からは予想通りの返答が返ってきた。
「…ううん。やっぱりなんでもないよ、うん」
「意味分かんないよぉ」
「それでいいんだ。分からなくて」
「なんか、私だけ知らないみたいで嫌だな〜」
「そう怒らないで。なんでもないんだよ、ただの独り言だって」
「あ、 そう」
「うん、そうだよ」
「…、う〜ん。まあ、いいや」
「うん」


(そう、燈は分からなくていいんだ。まだ、今は)

 私が口にした疑問の言葉の意味。それは、まだ私自身も分かりきって
はいない。
 だから、その答えが出た時に再び燈に問いかけよう。


———でもきっとその時私は、大切なものをなくしているに違いない。

 だってそれは何かを失わずして尚、手に入れることが出来るものでは
ないから。並の軽率な追求では求めることすら不可能に等しいことだか
ら。