ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 僕の望んだユートピア ( No.1 )
日時: 2011/05/11 15:48
名前: 玖龍 ◆7iyjK8Ih4Y (ID: ZTrajYO1)

■prologue■


僕は、殺人を犯した。


 *


「なぁ、面白いだろ?」


路地裏のゴミ箱の前、バカが五人。
虐めるバカと、虐められるバカと、それを見るバカ。

何が面白いって?
バカを虐めて何が面白いんだよ。
僕の親友を虐めて何が面白いんだよ。

うずくまるバカを蹴飛ばすバカが、僕に言った。
それをニヤニヤと見るバカの仲間。
震える僕と、親友のバカ。
涙をこらえる僕のバカ。


「おい、何か言えよ」


バカの手が飛ぶ。
親友のバカが泣き叫ぶ。

ネオンの光は、路地裏には届かない。


「止めろ!!」


「ふうん、親友をかばうんだ。自分のほうが痛いのに?」


笑うバカ三人と、泣くバカ二人。
僕は、何もいえない。
僕のバカ。


「いいよ。二人共許してあげる」


バカの言葉に惑わされるバカ。
所詮子供の虐め。
本気になる僕のバカ。


「ただし、お前がこいつ殺したらな」


バーカ。

僕に飛ぶナイフが、かすんだネオンを切り裂いた。
小型ナイフが、僕の足元に落ちる。


「殺して」


と、親友が言う。

出来るわけがないだろう、このバカが。


「さあ、早く」


やるわけないだろう、このバカ共が。





全員死ぬんだよ、僕のバカが。


真っ赤な世界。
これが、僕の望んだユートピア。


■prologue■