ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 世界の怪談(短編集) ( No.2 )
日時: 2011/05/18 21:50
名前: 涼 (ID: Q7YZ/LhH)

  #02 ( ドライブ )



「マイク、お前は飲酒運転だけは止めてくれよ」

「するか、バーカ」

「おい、前見ろ! バカ! 」



オレの名前はマイク・ローガンだ。隣の助手席に座っている奴は、

リオ・グローサーはオレの相棒で大親友である。

そんな悪友と皆から言われてるオレたちは真夜中にドライブした。

何となく暇潰しに、が理由だった。

真夜中のドライブもスリルがあって面白い。

リオと悪ふざけしながらドライブの最中にある道路で女を見かけた。



「こんな真夜中に何してんだ?」

「さあ……話しかけてみようぜ」

「ああ、そうしよう」



オレたちは車を動かし女の元へ走った。

途中で追い越し止める。

窓を開いて、歩いていた女にオレは話しかけた。



「おーい、こんな真夜中に何してるんだよ?」

「こんばんわ、ポーランドから気侭きままな旅をしてる旅人よ」

「へぇ、旅人さん。何でこんな真夜中に?」

「歩いてたんだけど、なかなか宿にたどり着かなくて、決まってなかったんだけどね」



その気侭な旅人の女はニコッと笑った。

凄い美人でオレたちは興奮する。

そしてある事を思いついた。



「良かったら乗せていくぜ!」

「そうだよ、乗ろうよ!」

「では、お言葉に甘えようかしら? あたし、リラ・フィーニーよ」



リラは後座席に座った。近くで見るとやっぱり綺麗な奴だなあ。

本当に旅をしているらしくリュックを背負っていた。

服装もいかに旅をしている、という風な楽な格好だ。

そのまま適当にドライブしながら楽しい一時を過ごした。

ある道に向かう前にリラがこんな話をし始めた。




「昔ね、ある旅をしていた女性が居たの、可哀相に彼女。飲酒運転をしていたある青年二人組みにより轢かれちゃったの。そして谷底に落ちて彼女は死んでしまったのよ」

「へぇ……酷い話だね」

「お、おう」



旅をしている女性ってリラと重なって見えた。

そんな訳ねぇよな。生きているんだし。




「そんな事件がポーランドにあったんだ」

「いいえ、イギリスよ」

「えー、俺達の国に? 覚えてねぇな」

「リオ、ありきたりな事件だったからじゃね?」

「だな」




リラの目付きが鋭くなった気がした。

気のせい、だよな——。




「その女性をはねた青年の名前はね、マイク・ローガン、リオ・グローサーって言うのよ」




オレたちの名前だった。だけど……ただの偶然だよな、偶然だ。

リオはただ苦笑いして相槌を打ってた。

リラはふっ、と笑い。




「その被害者の女性はね、リラ・フィーニーというんだよ」




完全にオレたちは車を止め逃げようとしたが、止まらない。

そのままハンドルを握ってないのに勝手に動き出した。

後ろ座席には、誰もいない———










ある青年二人組みがいました。

ある日その青年は飲酒していたのにも関らず運転しました。

そして山沿いにある道路を走ってる途中で女性をはねてしまいました。

女性は谷底へとガードを越えて落ちていってしまいました。

その後、その青年たちがたまたま真夜中にドライブしている途中に、

とても綺麗な女性をドライブに誘い車に乗せました。

それ以来。

その青年たちと乗ってた車を見た者は、一人もいませんでした。











Fin