ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: LOVE*L∞P ( No.7 )
- 日時: 2011/06/20 16:58
- 名前: 右左 (ID: 8hgpVngW)
「あ、蓮乃おかえり」
ソファでくつろぎながら、ボクに柔らかい笑顔を向ける。
ボクの細い腕には、ベットリと血がついているというのに、彼は眼中にないとでも言うようにソレにふれてこない。
ボクが暫く立ち尽くしていると、ようやく水里がボクの腕を見て言った。
「何で腕、汚れてんの。 汚いよ」
それだけか、とボクはため息をつく。
「水里こそ、殺しちゃったの?」
「煩いんだもん。 アイツ、蓮乃の事聞いてきてたけど、蓮乃はアイツの何知り合いなわけ?」
「お友達かなぁ……。 ま、水里には関係ないからだいじょぶだよ」
洗面台に立って、ジャバジャバと水音を立てる。
学校出てから土手で寝るんじゃなかった、とワイルドにしてみた一面を反省。
「蓮乃はさぁ、俺の隣にいればいいんだよ。 ずっと傍にいて、ずっと俺に壊されてればいいんだよ。 余計な事、しなくてもいい。 あんなの、放っておけよ」
ボクの人権無視っすか。
「でもねぇ、水里が補導されちゃったらボクも悲しいからさぁ」
聞きましたか。 ボクのこの優しい彼女っぷり!
蛇口を捻って水を止め、タオルを無視して手を振りながら
「自動乾燥機ー、うにゃーっ」
と言って水里の服に手を突っ込む。
思ったより温かくならなかった。
残念そうに顔を顰めていると、水里がボクの腕を引っ張ってきた。
子供のように髪を弄って、可愛いのは可愛いのだが。
正直、体勢がきつい。 なんか背骨が曲がりそう。 日ごろの運動不足が仇になりました。 あらら。
「フザけんなよ?」
髪を引き千切るくらいの勢いで引っ張られる。 すでに数本抜けたような音がした。
「いだっ……いだだだだだだっ痛い痛い痛いッ!!」
ボクのスーパーな髪の毛が抜けていく。 やばいはげになる、はげるはげる。
だけど水里は離そうともしないし、逆に引っ張る力が強くなる。
「ねぇ水里これ以上いくとボクはげるからぁ!」
「別にいいよ。 愛する自信はある」
いや、この状況で言われてもうれしくねーよ。
愛されてるだのどーのこーのはこの際どうでもいいから。
——このバカをどーにかしてください。
そう思っていたら。
急に玄関が開く音がして、荒い息遣いも聞こえて。
ローファーを履いたまま上がってきたセーラー服を着ている人が、妙にイラついた口調で言う。
「おいこらぁ! 水里てめぇ、女を襲うなっつっただろ!!」
「あー、アリサ」 「なにあれ!?」
衝撃すぎて「ARE」発言が出たが、気にしないでもらおう。
いやね、だって。 思いっきりセーラーを着た人が、男口調。
更に言うと、胸は成長に乏しい……というより、男。
「兎に角髪を放しちゃれ」 「……ボク、オカマって初めて見たよ」「オカマじゃねぇわ、ボケ」
なんだか切なくなってきた、と彼(?)は項垂れる。
「いったいんだけど。 水里、放す気ないでしょ」
「誰もアリサの言う事聞くなんて言ってないから」
「いや、聞けよ?」
どうやら、この人はアリサというらしい。
顔は中性的だし、別に声を聞かない限りどうみても女なんだけど。
口調からして男と判断せざるを得ない。 もうわけわからん。
「あの、えっと、おかま、さん?」
「オカマじゃねーからー!」
「水里と、どーゆーご関係で? まさか、そーゆーイケナイ関係で! ほうほう」「ちげーよ」
もっと口数少ないって聞いたんだけど。 と水里に話しかけてる。
ボクは知的好奇心を擽るモノはだーいこーぶーつっ! なのである。
「俺の、おとーさん」 「DEATH★」
ああ。 今日は悪いことだらけだよ。
クラスメートは殺されるわ、変な人が恋人の父親だと紹介されるわ。
もう、カンベンしてほしい。
