ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re:   私は私を壊した / 覚醒剤中毒者 ( No.14 )
日時: 2011/06/10 20:25
名前: ERio...xx ◆2fprVGDylE (ID: C0UsoifF)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode

→006♯


「…嫌だ……出して……出してっ……」


やはり返事はない。
お母さん、どうして私を閉じ込めたの?


「出してくれないなら……」


自分で出るだけだよね。


私は机にあった手鏡を見つけた。そうだ手鏡…これを使えばいいんだ。
私は震える手で、おもむろに手鏡を掴んだ。


せーの、で

───投げた。


扉のガラスに向かって投げた。すると割れた。当然の事だけど。
ガラスが飛び散り、光を反射して破片が光る。

お母さんの足音。


「お母さん!お母さん!」

「あんた…っ……何やってっ…」

「ほら、出してくれないから…自分で出ようとしただけだよ」


割れたガラスの向こうに、お母さんの、呆れた顔。
お母さん…ほら、こんなに出たいの、私。だから出して。


「意味が分からない……っとにかく、お父さんに連絡するわ」


ため息をついて携帯を取り出す。やめて、言わないで。
もう私は行動に出ていた。


「何するのっ、やめなさい!」


私は気づくと、割れたところから這い出ようとしていた。
手が真っ赤になっていく。痛い、けどやめられない。

───この感覚……覚醒剤の時と同じ…。


「やめなさい!ほら、危ないでしょ!」

「出して…ねぇ、出してっ…」


私は這い出た。…やっと出れた。お母さん、お母さん!

お母さん…?電話をしてる。誰に?お父さんに?
電話しないで、言わないで、告げ口しないでお願いお母さん!


「やめてって!お願い!お願いだからぁっ!」

「やめなさい!お父さんに言って相談するのよ、分かった?」

「嫌だ、やめて、やめてっ!」


何でやめてくれないの?どうして切ってくれないの?


私は大きなガラスの破片を手に取った。
そして腕が上がる。




お母さん、さよなら。




刺した。