ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re:   私は私を壊した / 覚醒剤中毒者 ( No.60 )
日時: 2011/07/18 15:20
名前: ERio...xx ◆2fprVGDylE (ID: 3mpQ0ToE)

→014♯


「はぁ……はぁ……」

「何とか、逃げ切ったみたい……」


何で私、逃げちゃったんだろう。逃げろ、逃げろって本心が告げていた気がする。
私は女性の方に視線をやると、肩を揺らして息を荒げている。


「……何か……ありがとうね、ふふっ……」

「いえいえ!……っはぁ……」


私も女性も疲れ切っている。


「そういえばっ……名前と年齢……聞いてもいいですか……?」

「ん、私は、川崎真紀、15歳!そっちは?」

「私は、藤和瑠璃。真紀と同じ15歳!よろしく!」

「よろしく、でも何か、変な仲よねっ、薬の仲間なんて……おかしいわよねっ」


クスクスと笑いながら、真紀はそう言った。
そして私達は次第に仲良くなり、一緒に暮らすようになった。
真紀には家族のことも、友人のことも全てさらけ出した。真紀も過去に似たような話があったらしい。

私は家を捨てた。全て鍵をかけ、窓も鍵を閉め、一切入れないようにした。
死体は放置。きっと悪臭が漂っていると思われるだろう。




「真紀」

「なあに?どうしたの瑠璃」

「私、いつかニュースで取り上げられるかもね」

「そう……かもしれないね」

「……私、いつか真紀と離れないといけなくなるのかぁ」

「…………瑠璃、これ」


すると、真紀は私の掌にソッと置いてくれた。見ると、小さな袋があった。中には注射器が入っていた。


「……これは……?」

「もし、もしだよ?もしも警察に捕まりそうになったら、これを使って」

「これを、腕に打てばいいの?」

「うん、これは、身体能力を何倍にもしてくれる優れものよ」

「……ありがとう!」

「ううん、大丈夫、瑠璃、絶対逃げ切りなさいよ?」

「……うん!」


私は涙目になりながら、その袋を大事にしまった。
真紀は私の顔を見てにっこりと微笑んだ。真紀の笑顔が眩しかった。

私は絶対に捕まらない、そう願っていた。


しかし、その願いは、早くも裏切られるのだった。