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Re: 遺伝子コード000±0×0 ( No.26 )
日時: 2011/06/17 21:47
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: jrQJ0.d7)

 イリス……? どっかで聞いた名前だな。
 エルメスは首をかしげ、イリスはリアスを注視し、首をかしげる。 二人とも、見覚えのある人物の顔を見て、思い出せない状態に陥っているというのが現状だ。
 エルメスが首をかしげている最中、

 「もう良いや、めんどくさ……。 で、エルメスとリアスだったよね? オーガの森から抜けてきたって本当?」

 「あぁ、リアスの髪の毛見ればわかると思うが……所々にあいつらの返り血浴びてる。 血液鑑定でもするかい? オーガのモンだってハッキリすっから」

 エルメスはどうでもないことのように言い放つ。 だが、そんなオーガの森からたった二人で抜け出してくるなどあり得ないと言ってもいい。
 おそらくこの二人は、D能力者。 そして、名前が知れ渡っていないだけで相当強力な力を持っているのだろう。

 「じゃあさ、君のDコードは?」

 「000±0×0、否定【ディナイアル】。 一応、0族で政府から“肩書きだけの能力者”って言うんで廃棄されたけど、廃棄されて数年間の間に、俺の能力が見つかった。 相手のD能力で放出された生命エネルギーをSNAを通して俺の力に変える能力だ」

 ……。 イリスは言葉を失った。
 生命エネルギーを『放出する』という定義が、能力者か一般人かを分ける違いだ。 この男、理論上は持ち得ない能力を持っている……?
 いや、それでは辻褄が合わない。 なぜ……

 「じゃあ、あのオーガの森をどうやって抜けてきたの?」

 「簡単な話、生命エネルギーの貯金だ。 俺は際限なく体に生命エネルギーを溜め込める。 そして、使えば寿命が一気に減るし、相手の能力からチャージすれば寿命も一気に延びる。 フルチャージ状態には今までなったことは無いが、恐らくその状態で力を使わなければ1万年程度なら寿命で生きられるって“アンダーの闇医者”が言ってたな」

 寿命で一万年……。 恐ろしい数値だ。
 しかし、今は遺伝子が100%解明されている。 不老不死くらい、驚くことでもない。 実際に、不老不死の人間は現在世界に1000人近く存在する。 恐らくこれからも増え続けるだろう。

 「じゃあなんで、廃棄されたの?」

 「だから、肩書きだけだったからだ。 俺の能力は相手がいて初めてその効果を発揮する。 だから、相手がいなければただの寿命が長い人だ。 それに、運動能力は生命エネルギーのチャージの副産物だしな。 通常状態じゃ、人間の限界は超えられないんだよ」

 へえ、成るほど。
 確かに、能力者として認知されなかったのは納得だ。
 で、

 「リアスの方は?」

 イリスが聞くと、エルメスは何も知らないというように首を横に振り、リアスはイリスを信用していないようにそっぽを向いた。

 「俺は良くしらねえ。 アンダーにある日突然きて、そこで暮らし始めた人間のうちの一人だ。 過去のことは無粋だし、あまり聞いてないし、本人の同意なしに話すのも駄目だろ? 少しは知っているが、俺の口からはいえない。 悪いな」