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Re: 遺伝子コード000±0×0 ( No.36 )
日時: 2011/06/28 16:28
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: Wp/04zaT)

 5分後。 
 話し合いの末に、今の事情を知っているリアスもろとも、エルメスはイリスに引きずられ、結局組織へと引き込まれる事となった。
 彼女曰く『強い団員が不足している』そうでして。
 戦闘能力の高い二人が引き込まれるのも自然な流れだった。 実際、政府監視下に居ないD能力者は問題でしかない。
 ちなみに、イリスも一応は政府管理下のD能力者だが、彼女の能力は使用規約付で、『やむおえない場合』に限り発動が許されているそうだ。
 そして、リアスの能力。 これは、政府に通達された結果『危険度ゼロ』と判断された。 危害を加えない限り、一切の能力を扱えないからだろう。

 「で、俺のこの腕輪は一体なんだよ? 妙に空腹感を感じるのだが……?」

 エルメスは、その力を封じ込める腕輪とやらだ。 D能力者の体内には、無数のナノマシンが血液に乗り、流れている。
 それを電波で弱体化させるものらしく、D能力細胞を生成する速度を緩和しているとか何とか。
 結果、能力の食い漏らしが出ると言う理由でイリスは政府にその腕輪をはずす許可を申請している。

 「外して良いってさ」

 「……ふざけやがって、冗談じゃねえ」

 エルメスは悪態をつきながら、その腕輪を強引に引き剥がす。 能力は発動可能なため、その能力によって生じる怪力と、体の強度は異常値だった。
 引き剥がした腕輪を、イリスに投げ渡す。

 「さて、数分したらジェームズが来るから。 少し待って。 その間、私の話をしようかな。 君たちからすれば、私は得体の知れない人間だからね。 そうだな……」

 能力者になったところから。 私の適合試験番号は、第66回適合実験。
 その会場で、ナノマシンの適正を調べられて、強い対生があるって結果が出てね。 死に掛けたよ。
 三日三晩苦しんで、最初のほうでナノマシンを打ち込んだはずなのに、終わったのは一番最後だったっけな。
 そこで、

 「私は始めて、人を殺した」

 イリスの言葉に、ドス黒い靄がかかる。 彼女自身、嫌な思い出らしい。

 「その場に居た試験官の一人が、能力を強制的に発動させてさ……」

 ……どうなったと思う? その場に居たモノが、私の目線の高さで両断された。
 柱の破片が飛び散る事も無く、崩れ落ちた。 人間の体の断面が、目の前で露になり、少し経ってから、それに気づいたよ。

 「私が……殺したんだって」

 「お〜い! イリス、そいつらか?」

 イリスの言葉の途中、歩道の反対車線から、茶髪の男が手を振っている。
 イリスは話を途中で止めると、

 「ジェームズが来た。 二人とも、車に乗って」