ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ─復讐人間─キャストUP ( No.4 )
日時: 2011/06/08 21:13
名前: テントウムシ (ID: BZFXj35Y)

     ━ P R O L O G U E━





復讐の芽が芽生えるきっかけは、どこにでも転がっている。
学校の帰り道に、顔も知らぬ同級生が肩にぶつかってきた。僕は悪くない。ぶつかったのは相手からだ。なぜ睨む?



殺してやりたい──────



家の自室で勉強をしていると、ノックもせずに入ってくる父母に祖父母に兄弟に姉妹。



殺してやりたい──────



すれ違い様に、僕と目が合う人々。



殺してやりたい──────



僕の「名前」を口に出した奴は殺す。
僕を「評価」する奴は殺す。
僕が「嫉妬」する奴は殺す。全て、全て、何もかもが対象だ。
僕よりも頭の良い、僕よりも運動神経が良い、僕よりも容姿が良い、僕よりも何かが上である存在は許さない。
全ては僕が頂点だ。権力だろうが、金だろうが、力だろうが。努力で上に行けないのなら、俺は違う方法で頂点を目指す。俺を変えたのはお前らだ。

「大人」

俺は……全てを捨ててきた。
「彼女」も「親友」も「家族」も捨てた。



   僕こそが────俺こそが──────………………



 * * * * *


「翔太。大丈夫か?」


「うぅ…あ…あぁ、大丈夫だ。計画の進行状況は?」

「そろそろ警視庁で、ドでかい花火が上がる筈だ。一緒に見ようじゃないか。」

ホテルのベットでスーツ姿で横になっていた前田は起き上がる。
前田の脇に立つ黒いコートを着た濃青色の髪の男性は、前田の隣に座ると窓の外の景色を眺める。
前田は大きなため息を吐くと立ち上がり、スーツとネクタイを着なおす。

「どこに行く?花火は見ないのか?」

「俺は遠慮しとく。あとはお前に指揮を任せるよ、氷陣。」

佐久間氷陣は無言で頷くと、前田の生気を失った両目を見ながら口を開く。


「‘俺’なんか使わないで、‘僕’って言えよ。お前らしくないぜ。」


「……じゃあな。」

氷陣の言うことを無視して、前田は部屋から出て行った。氷陣は曇天になりつつある空を見上げるとため息を吐いた。
そして、座った状態でベットの上に後ろから倒れた。
そして目を閉じると、何もない暗闇の中に1つの光がポツリと浮かび上がる。
その白い光は、成人女性の様な姿をしている。



「夕奈…………もうすぐで始まる……………………世界を……変える…………出来事が…………」