ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

─SUSPECT─ ( No.5 )
日時: 2011/06/25 22:44
名前: 神無月蓮音 ◆QbxCHceaIo (ID: 4RXkNMBl)


─5話─
 トリック

「おはよう、悠太、輝。」
僕は出来るだけの笑顔で声をかけた。
「どうした。気持ち悪いな。」
輝はいかにも気味悪そうに返事をした。
「トリックが分かったんだ!」
「手紙の?」
悠太が目を輝かせて言った。
「あぁ。昨日の寝ないで考えて良かったよ」
「んで?トリックは?どうゆうことだ?」
「それが…『ねぇ』」
僕らは振り返った。
麗だった。
「そのトリック、私にも教えてよ?」
「え?」
「私も知りたいの。教えて?お願い」
麗の頼みだったためか、僕は快諾してしまった。
「んで、このトリックは、手紙の最初の文字に秘密があるんだ。」
「最初?」
3人は声を合わせて訊いた。
「あぁ、最初だ。これをみて。」
僕は葉月君に届いた手紙の写しを差し出した。


はじめまして。
しかし、
のんきですね。あなたは。
うえきばち
えのぐ


「最初の文字を見て?
 は し の う え ってなってるだろ?」
「あぁ。」
輝が答える。
「輝、葉月君の殺された場所を覚えているかい?」
「…橋の上だったっけ?」
「あぁ、まぁ、橋と言っても、
 学校の中庭にある小さなものだけどね。」
「そうか、つまり、犯人は犯行現場を教えてあげているって事か。」
悠太がつぶやく。
「多分、僕の推測だとね。」
「真一君、すごいね。私はそんな事分からないわ。」
麗が明るく答えた。
「あ、ありがとう。」
僕は顔が赤くならないように保つのに必死だった。
─まぁ、赤くなっていたとは思うけど…