ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 悲哀主義者-Alice- ( No.1 )
- 日時: 2011/06/09 23:00
- 名前: うーぱーるーぱ (ID: ucEvqIip)
Episode0:探して走って哀しんで
夜みたいに、真っ暗な場所・・・・。
何も見えない、何も聞こえない、何も、覚えてない・・・・・・。
怖い、怖いよ・・・・・・助けて・・・誰でもいいから・・・・・・。
「助けてぇ・・・・・助けてよぉ・・・ぅう・・・・・・・・」
一人の少女が、大きな声を上げて泣いていた。
小さな体を大きく震わせて、顔を手で覆って・・・。
細く小さな指の間からは大粒の雫がボロボロと零れていく。
無駄な肉のついていない腕を伝って床に水溜りをつくり、膝をぺたりと着けて座る少女の足元を濡らす。
そんなことは気にもせずに、少女はただただ泣き続けていた。
「やだ、やだやだやだ・・・・・・ふぇ・・・・あぅ・・・・・・・」
延々と泣き続けていた少女だったが、突然、ぴたりと動きを止めた。
そして、覆っていた手を降ろして、また震え始める・・・。
「ぅ・・・ふぁ・・・・・は・・・・・はは・・・・・・・」
歪んでいた口元が、美しい弧を描いた。
「あははははは!!!!ははっ!!!!あっははははははははははは!!!!!!!!」
水で濡れた床の上に倒れこむ少女。
ばしゃん!!と水音が静かなそこに響き渡る。
「ははっ、あは。何、なんだっけ?何が嫌だったのかなぁ?ん?・・・・わっかんないや!あははっ!!」
ひとしきり笑い終わると、少女は思い出したかのように辺りを見渡した。
「ぉよ?いつの間にか壊れちゃってる・・・・・・つーまーんーなーいっ!!全然もたなかったじゃんかぁ!!!!」
そういって蹴飛ばす、少女にとっての玩具の一部。
・・・・・目をカッと開いた、男の首であった。
「・・・・・ま、いっか。また次探せばいいよね!うん!私天才!!あはっ」
くるくると回る少女は、ひどく楽しそうであった。
・・・・・・・・・瞳からは、沢山の雫が流れていたが。
「探さないとねっ!!・・・・・・私のも・・・」
少女の呟きは闇に呑み込まれていった。
これは、始まりの物語。
<探し続ける少女>の、哀れな物語・・・・・・・・・・。