ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 緋妖妖 ( No.3 )
- 日時: 2011/06/20 15:29
- 名前: 嬬嬬 (ID: JP5iH4Hy)
第一話 「私が食べてしまったもの」
ただいまお母さん!
お母さん?
「哀れね、お母様はいないわよ。」
「私が食べてしまったもの」
++++++++++***********++++++++++++++*************+++++++++++++****
〜鵜靈爺神社
「こらっ、そこの妖怪!おとなしくやられろぉっ!!!」
『黙れ小娘がァ!巫女だからってちょうしにのると痛い目見んぞ!!』
玲が、河童(妖怪)を素早く追いかけまわす。
河童は、近くの池に音を立てずにすっ、と入って行った。
「…逃げられた?」
念のため玲は手にお札を持ち構える。
「哀れ鵜靈爺の巫女よ。我が同胞を追いかけようとは、
肝が座っているわね。恐れ入りましたわ。」
「!誰!?」
桜の木の後ろから、背が低い、でも同い年くらいの少女が
ゆっくりと姿を現した。
「私は歌留多 嬬嬬。貴女の敵、妖怪よ。」
少女は礼儀正しく、小さくお辞儀をして、少し微笑んだ。
そして、手のひらを返し、小さな水晶を造り出した。
「でも、私の同胞に怪我をさせたのなら、私はあなたを
ただの肉の塊にしなくてはならないわね。」
「なっ、私はおいしくないよ!!」
だんっ、と玲が地面を強く蹴り飛び、札を投げる。
嬬嬬はまるで舞を踊っているかのようにひらり、と避けた。
そして手のひらを玲に向けつぶやいた。
「氷柱吹雪」
ぶぉっ!!大きな風が一瞬吹き、玲が空中で体勢を崩した。
「はわわっ!?」と声をだし、そしてどすんっ!
お尻を地面に強打した。
「いったぁー!!」
「あなた、巫女を継いだのは良いけど、力を引き出せていない。」
ざくざくざくざくざくざくっ!!
無数の小さな水晶が玲の近くの地面に刺さる。
水晶は半分くらい地面に刺さっており、これが肉体に刺さったとしたら
と思うと背筋がぞくっとなる。
「っ、私はまだまだ強くなるもん!!」
ばっ、と立ち上がり札を嬬嬬にびしっと向ける。
嬬嬬はくすくすと笑い、水晶で造った剣を玲に向ける。
「さぁ、どうする?」