ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 黒い太陽 ( No.1 )
日時: 2011/06/16 22:28
名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: n/BgqmGu)
参照: http://ameblo.jp/pokemon19/

電車が揺れる。
それは揺り篭のようで、気持ちが良かった。吐息を立てて寝る青年は乗車していたサラリーマンの男に起こされた。
「君……終点だけど……。」
「んっ……!す、すいません……。」
よろめきながら起きた青年は、急いで電車から出た。瞼が重い。近くの自動販売機でコーヒーを買った。
 栓を開けて、一口飲んだ。すると、急いでいた人に当たってコーヒーが溢れた。その拍子に地面に落ちて全部溢れた。小さく舌打ちをして缶を蹴る。




【mission1:蒼い雷電】




しばらく歩いて、自分の家に帰る。
「ただいま」
……と返ってこない。そう、青年独りだけなのだ。
ベットに寝転がって目をつむる。二度寝しようと意識をふっと持っていくが、それを妨げたのは携帯電話のバイブだった。一文字ずつ発信者の名前が並んでくる。

大野 龍之輔

嫌そうな顔をし、渋々携帯電話を耳にくっつけた。元気そうな声がボーッとさせる彼の頭を目覚めさせた。
「よおおおおおっ!お元気ですか〜!?」
「お前のせいでテンション下がりましたけど」
「お前、暇?ちょっと来てくれ。なっ!」
「なんでだよ。めんどくさいな。」
「いいから!!一刻も早く!!」

せかせか言われて、重い体を持ち上げた。扉を開けて、鍵を閉め、夕日が沈んだ夜道を歩く。大野の家はそんなに遠くないが、大学から帰って疲れた青年にとっては非常に長く感じた。
 「大野」と書かれた家の看板。大きくため息をしてインターホンを鳴らす。玄関にドタドタと走る音がする。ドアを開けて「こんばー!」と上機嫌そうに挨拶する大野。
「何かようか……。」
「んやー、それがよー。」

家に通されて、キッチンに連れて行かれた。「これ」と指を指されたのは電子レンジだった。これを直して欲しいそうだ。
「お前、機械に詳しいだろ?」
「…あ、いや……」
「早くしろってー。気にすんなよー。」
青年は頭を掻いて、仕方なさそうに電子レンジを触った。

ビリッ

ボンッ

妙な電気の音を立て、内部で爆発した。隙間から少し黒い煙が出ている。すると大野は「あっ!」と思い出したように声を上げた。
「そうだ、お前……なんか知らないけど運悪いんだったな〜。しかも電気に関しては……。触った電気物を絶対壊すという……
「うるさい!!」

怒りの矢が大野を貫いた。青年は白髪をゆらゆらと揺らして、玄関へと歩いていった。「待てよー!」大野の声もむなしく、届かなかった。ガシャッと玄関のドアが閉まった音がすると大きなため息をついて、自分の部屋に戻った。
 一方、胸くそが悪くなった青年は自分の家に帰っていた。ベットにまた寝転がって目をつむる。そのまま寝息を立て、寝てしまった。