ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 死亡フラグ。 ( No.7 )
日時: 2011/06/21 22:02
名前: 機械人間α ◆faeEHB.vks (ID: .pdYDMor)





げ……マジで……?

「何寝てんだって言ってんだよ、起きやがれ糞野郎!」

「お……お前…………誰!? 何人の家勝手に入ってきてんだよ!! てか此処二階だよ!? 何、上ってきたの!? 帰れ帰れ!!」

言いたいことを全部言い切って、私はハァハァと息を切らしながら不法侵入者を見つめた。
二十歳くらいだろうか。小柄なのに背が高く、短くて黒い革ジャンを羽織ってブラックジーンズをはいている。髪の毛は染めているのか染めていないのか、深紅に輝いている。所々黒いところがあるから、きっと染めているのだろう。目は……、オッドアイ?

「何じろじろ見てやがる。ったく、質問攻めの後は観察かよ?」

黒と赤のオッドアイのきつい眼で睨まれた私は、眼を伏せて言った。

「何の用よ」

すると、男はふっと笑って当たり前のように当たり前じゃないことをしゃあしゃあと口に出した。

「よく聞いた。死んでもらうためさ。……理由なんぞ聞くなよ? どうせ、下らないから」

ああ、そうか、こいつは私を殺しに着たのか。……ん?私を、殺しに?
え、それってやばくない?不法侵入の上に殺しかよ、うわ。不法侵入された時点で通報しときゃよかった。
死んでもらうといわれても、案外冷静な自分に驚きつつも、伏せた目線をあげてキッと男の目を睨んだ。
当然私より背が高いため、下から目線になって全然恐ろしくないことも分かっている。

「死んでもらう為? ならいいよ、殺せば。私も其のほうが嬉しいし」

死にたいから。私の言葉は少しも震えていなかった。
本能が叫ぶ、〝生きたい〟とは違う。私の本能が叫ぶ、〝逝きたい〟を言葉に発しただけ。
私は、心から死にたいんだ。

表情も変えない私に、男は言った。

「そうか、お前は死にたいのか。……気に入ったよ、俺はお前を殺さない」

「え?」

「まあ一種の嫌がらせとでも思ってくれ。お前、仲間になる気はないか?」

二人の間を、長い静寂が通った。