ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 異世界少年。-届いた叫び- ( No.2 )
日時: 2011/06/21 21:32
名前: くっきー (ID: ErINZn8e)

プロローグ 「全ての始まり」


HRも終わり、羅羽はイスに座って帰り支度をしていた。

「ねーねー、羅羽、これから暇?」

声がした方・・・・つまり横を見ると、友達の夏奈が羅羽の机に手を置いて、羅羽の顔をのぞき込むように見ていた。

「うん、暇だよ。どうしたの?」

バックに全ての荷物が入れ終わり、立ち上がってからバックを肩にかける。その様子を見た夏奈がニヤリと笑う。

「・・・ねえ、ホントにどしたの?」

羅羽は夏奈の顔を見て眉間にしわを寄せる。
こういう時に限って変なこと言い出すことが多いんだよね・・・。

「へっへーん、これを見よっ!」

夏奈がスカートのポケットから三枚の黄色い長方形の紙を取り出し、羅羽の目の前につきだした。

「ん?何それ・・・って割引券じゃん!カラオケの!」

目をきらきらと輝かせ、羅羽が言った。
夏奈はそのまま羅羽の目の前でヒラヒラと割引券を動かした。

「こないだカードのポイントと交換したんだ〜。これからカラオケ行こうよ!暇じゃなければ明日でもいいよ。有効期限、一ヶ月あるし」

ニッとお得意の悪戯っぽい笑顔で夏奈は笑ってみせる。羅羽は必死に頭の中の記憶の糸をたぐり寄せた。

「んー・・・今日かあ・・・何か予定あったっけ・・・」

ボソボソと呟く羅羽を見て、夏奈は割引券を一枚、羅羽に差し出した。

「じゃあ今日、家帰ってから予定あるかどうか見てみてよ!この割引券は一枚あげる。三枚も要らないからね」

羅羽は戸惑いながらもその割引券を受け取る。

「いいの?もらっちゃって・・・」

「いいのいいの!じゃあ後で携帯に連絡してよ!私は他の子誘うからさっ!」

夏奈は笑いながら言うと、羅羽に背を向け、今度は黒板付近にいた女子に話しかけ始めた。

「・・・よし、じゃあ今日は早く帰ろうっと!!」

羅羽は割引券をカバンに入れると、教室を出て廊下に
出ていく。そのまま走ろうと足を踏み出した時、足下に何かが落ちていることに気づいた。

「・・・・?何だこれ・・・」

しゃがんでからその何かを拾いあげる。見てみると黒いリストバンドのようだ。名前は書いてない。だが誰のか思いつく人物はいた。

「確かこれ・・・冷木のだったっけ・・?」

本当にそうかは分からないけど、こんなリストバンドをしていたような気が・・・・する。

「届けに行ったほうがいいかな・・」

羅羽はリストバンドを握ったまま廊下を小走りし、階段を駆け下りる。
下駄箱で革靴に履き替えて、上履きを自分の下駄箱にしまい、校門へ向かって走り出した。
校門で一度立ち止まり、左右に広がる道路と歩道を見る。すると右側の歩道にかなり遠くの方で離兎が歩いているのを見つけた。

「この距離だったら追いつけるかも・・!!」

再度羅羽は右側の歩道へ走り出した。


この時何故、リストバンドを届けようと思ったのだろう。
ただ単に同じクラスなだけ。会話さえあまりしたことが無かった。
彼のことを気にしたことは正直、全然無い。
直感的だったんだ。届けよう、と思ったのは。
この時あたしはまだ知らなかった。
これから始まる非常識すぎる出来事に———!

               To Be Cohtihued....