ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 異世界少年。-届いた叫び- ( No.4 )
- 日時: 2011/06/22 22:04
- 名前: くっきー (ID: DSznZxUf)
第二話 「廃墟の世界」
「は・・・?あ・・くま・・?」
何言ってんの、こいつ。頭大丈夫?
だけど、離兎の目は本気らしい。冗談も感じられない。
「まあ人間だけど。『やったこと』は悪魔と一緒」
冷徹すぎる離兎の声に足が震える。恐怖を感じた。
何も言い返せない。目を伏せ、地面を羅羽は見つめた。
「なあ、もういいよな?」
離兎の声がして、目を上げ離兎を見た。
すると離兎の後ろには半径二メートルくらいの大きな黒い穴、があった。
えっ、何これ。
「ちょ・・・っ、何それっ!?」
羅羽が叫んだ。
意味分からない、今度は何!?
「あんたには関係無い。知らなくて良いんだよ」
無表情で離兎は呟く。
知らなくて良い。その言葉に何故か苛立った。
心の中がむしゃくしゃする。何かでかき混ざられているような感じがした。
分からない、何なの?この気持ち。
ギュッと、バックを掴む力が強くなった。
何でだろう。分からないけど。あたしもあの中に行った方がいいかもしれない。
「ねえ、冷木」
ぼそりと羅羽は離兎に向かって呟く。
一歩、二歩と羅羽は離兎に近づいていった。
「あたしさ、何でか分からないけど」
そこで言葉を句切り、離兎の後ろにある穴を指さした。
穴の中は闇。何も見えない、真っ暗だ。
「その穴の中に行った方がいいって思うんだ」
離兎が目を見開く。
「馬鹿か。何いきなりそんなこと言ってんだよ・・・・」
「馬鹿でいいよ。ねえ、それ、何?何かその中、あたし前に入ったことがあるような気がするんだけど」
本当にそう思った。
あたしの中に、あたしが知らない何かがある。
「・・・悪いけど、それはお断りだ」
そう離兎が吐き捨てるように言い終わると、その穴の中に走り込んだ。
「ちょ・・・!待ってよ!」
いきなりなんてひどいよ!
穴が少しづつ小さくなっていく。
やだ、消えちゃ嫌だ!
入った方がいい、絶対に・・っ。
何故かそう思った。
その思いに身を任せ、羅羽も駆け出し、その穴の中に飛び込んだ。
「う・・・・うぅー・・」
うっすらと目を開け、羅羽は起きあがる。
そして頭を左右に振ってから、辺りを見渡した。
「・・・・・何これ・・・」
周りはごろごろと瓦礫が転がっていて、建物も壊滅状態だった。
何もかもが崩れている。地面は砂利。
何なのこれ。
恐る恐る立ち上がり、スカートについた砂をはたき落とす。
もう一度ぐるりと辺りを見渡し、空を見上げた。
「・・・・・嘘・・」
ボソリと羅羽は呟いた。
空は真っ暗。あるのは明るい光を放った青白い月のみだった。
「何なのここ・・・」
周りは廃墟。しかも空には月。ここでは夜なのか?
呆然と立ち尽くす羅羽の後方で、足音が聞こえた。
素早く振り返ると、そこには小さな男の子が立っていた。
何だ・・・びっくりした・・・。
「ご、ごごごめんなさい!」
震えた声で男の子は誤り、ペコリと頭を下げた。
突然の出来事に状況がつかめず、羅羽は手を左右に振った。
「あっ、ち・・違うの、びっくりしただけだよ」
羅羽の言葉に安心したのか、男の子は頭を上げる。
金髪のショートカットをしたその男の子は、フードをかぶっていた。服はボロボロだ。
「お姉さん、助けて。道に迷っちゃったの。ここ、何処か分からないんだ」
小さな声で男の子は言った。
って言われても・・・あたしもここ何処か分からないし・・・。
羅羽は男の子に近づき、手を取った。
「あたしも迷子なの。一緒に行こう?」
男の子は一瞬驚いたものの、すぐに縦に首を振った。とても嬉しそうな顔だ。
良かった、喜んでくれた。
羅羽も少し笑うと、再度男の子の顔を見る。
しかし次の瞬間・・・。
「バーカ」
・・・え?
男の子の口からさっきまでの愛らしい声で暴言が出てきた。
驚いているのもつかの間、男の子はポケットからナイフを取り出すと、羅羽の胸、心臓めがけて突き刺そうとする。
気づいた時にはもう、目の前に血が飛んでいた。
嘘、あたし死んじゃうの・・・・!?
To Be Cohtihued....