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Re: 異世界少年。-届いた叫び- ( No.6 )
日時: 2011/06/24 21:41
名前: くっきー (ID: st6mEGje)

第四話 「突きつけられたナイフ」

「・・・そうだけど?」

羅羽の問いかけに少年——離兎は返事をした。
そして羅羽の方へ近づくと、男の子を地面に横にさせ、握っていたナイフを取った。
男の子はすやすやと眠っている。

「ね・・ねえ冷木、これどういう状————」

羅羽が言い終わる前に離兎がナイフを羅羽の首筋においた。
少しでも動けば首が切れてしまう。
えっ、えっ、これどういうこと?!
羅羽はそのまま離兎の顔を見る。表情は・・冷たかった。

「動くな」

冷たい声で離兎が言った。
見たもの全てを凍らせてしまいそうな目つきで離兎は羅羽を見る。

「動いたら首、切れるぞ。俺はあんたを殺すことだってできる」

ナイフが少し動いた。
羅羽は大きく息を吐き、真剣な表情で離兎を見た。

「殺したって良いよ。でもあたしは冷木に何もする気はないから」

冷静さを取り戻したつもりだったが、声が震えていた。手も震えている。
「殺したって良いよ」そう言ったものの、やっぱり怖い。泣きそうになるのを必死でこらえた。

「何で俺が「冷木」だって分かった?」

何であんたの声はそんなに冷たいの?
そう言おうと思ったけど、質問返しにするのはやめておいたほうが良さそうだ。

「・・・・まず服装。あんたそれ、制服のままでしょ?」
「・・・」

無言の離兎に羅羽は続けた。

「あと口調とか目つきとか・・・そんな感じ?あぁ、直感だけど」

言い終わってから離兎を見ると・・・あぁ、やっぱりそうですか。呆れ顔だった。

「馬鹿か、あんたは」

ボソリと離兎が呟く。
「馬鹿で結構」と羅羽は小声で呟いた。

「あと一つ、あんた・・・」
「何?」

また鋭い質問が来るとか?身構えておこう、うん。

「あんたの名前は?」

・・・・何それ。そんなこと聞くの?すっごい簡単な質問じゃん。身構えて損した。笑えちゃう。

「あたしの名前は———・・」

・・・あ・・れ?
言葉がつまる。出てこない。確かに名前はある。あるよ、あるんだけど・・・出てこない。
何これ。駄目だ、出てこい、あたしの名前!!

羅羽は離兎を困ったように笑いながら見た。

「名前・・・何だったっけ——・・・?」
                       To Be Cohtihued....