ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ◆ ロストバンデージ ( No.1 )
- 日時: 2011/06/24 19:53
- 名前: 千燐 ◆DrGoOddBZQ (ID: vtamjoJM)
◆0 ロストプロローグ
昔、園長先生に聞いた話があった。
この園には包帯のお化けが住んでいるって。
そのお化けは子供が大好きで、悪い子供はそのお化けに食べられてしまうって。
その話がとても怖くて、いつも夜は早く寝た。
お化けに食べられるのは困るから。
僕には、やらなきゃいけないことがあるから。
◆
周りが全部炎だった。
逃げなきゃと思っていても、足が竦んで動けない。
そもそも逃げ場が無かった。
その場にへたり込んでしまっていた僕は、ただ立てず、燃え盛る部屋の様子を怯えながら見ていた。
「アルト——!! アルト——!!! どこだ——!!?」
外から、僕の名前を叫ぶ声がした。キリクの声だ。
でも、燃え盛る炎の音に負けて、蟻が喋っているようにしか聞こえない。
『こっ、ここだよ!! ここだよ——!!! 助けて——!!』
気づいてもらえるように一生懸命叫んだ。
でも、きっと聞こえていない。自分でも分かっていた。
大声で叫んだら急に息が苦しくなってきた。
たくさん煙を吸い込んだからかな、もう目の前が霞んでいる。
僕はその場に倒れこむ。
もう立ち上がれる気がしない。
僕の目から、水が零れ落ちた。
ここで死ぬわけにはいかないのに
やらなくちゃいけないことがあるのに
死にたくない
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくないシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイしにたくないしにたくないしにたくないしにたくな
≪ガキのくせにキモチワルイな、お前≫
すると。
頭の上で、声がした。
≪でもいいねぇ、その、 生への執着心 ……そそるねぇ≫
◆