ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 姫は勇者で魔法使い。 ( No.10 )
- 日時: 2011/07/18 08:05
- 名前: 野宮詩織 ◆oH8gdY1dAY (ID: AzZuySm.)
- 参照: 敵のセリフは文字化けじゃないです、仕様です!←
クロヌが窓枠を蹴り、思い切り加速をする。
そのまま、流れるように敵である『物』に斬りかかる。
「るれらけ避てっだ誰ばらな度程のそ」
しかし、敵はよく分からない呪文のような言葉を吐き、上空に飛ぶことでクロヌの初手を避けてみせた。
対するクロヌは地面に落ちることがないように、初歩的な魔術の1つ【空宙】を使い、空中に留まる。
「さっきの呪文は何だったんでしょうね」
オルドルが疑問を口にする。
実をいうとさっきから妾も同じ疑問を感じておった。
というか、正直、クロヌとあの『物』との戦いの結果よりもそっちの方が気になる。
「あの言葉は逆さまに読めば、意味を成すんだぜ」
ミコガミがほとんどの人が知らないであろう情報を告げる。
その法則で考えていくと……。
駄目じゃ……。 さっきの言葉が長すぎて思い出せぬ……!!
「先程の言葉をひっくり返すと……。 あぁ、『その程度ならば誰だって避けられる』と言っていたのですね」
オルドルがミコガミに確認するように言った。
さっきの呪文のような長い言葉を覚えていられるとは、流石、皇位継承者である妾の教育係と執事を兼任する実力者と言ったところだ。
クロヌとオルドルの2人は妾が小さい頃から、多忙な父上と母上に代わって、世話をしてくれていた為か家事スキルも高ければ、面倒見もかなり良い。
評価をつけるとしたら、2人共、どこに嫁に出しても恥ずかしくないレベルじゃな。
「緊急事態の最中だというのに、なにか能天気なこと考えてますね?」
「…………黙秘じゃ」
オルドルのプレッシャーをかけるような視線が痛いので、目を背ける。
背けてもまだ刺さるが、目を合わせているよりかは遥かにマシじゃ。
「それにしても、さっきからやたらと未確認の情報を知っていますね」
オルドルが僅かに疑いを孕ませた目で、ミコガミを見やる。
「ん? いやー、このしゃべり方の法則は俺も気になってな。 何体かと戦って、サンプルを貰ったんだぜ」
ミコガミはしゃべり方等を知りたいが為に、未知なる領域に存在している【憑獣】を扱う物達と戦ってきたというのだ。
見上げた好奇心と探求心じゃ。
「おい、ミコガミ!!」
「何だ?」
敵を大太刀で牽制しながら、クロヌがミコガミに叫ぶ。
「さっき、『動物のパーツを剥ぎ取れば解ける』と言ったよな!?」
「あぁ、確かに言ったぜ」
ミコガミがクロヌの問いに肯定する。
「本当だな!?」
「さっきも言ったが、本当だぜ」
クロヌの再確認にもミコガミが肯定する。
「姫様、見ない方がよろしいかと」
オルドルが妾に助言してきた。
「何故じゃ?」
オルドルとついでにミコガミに疑問を投げかける。
目を閉ざしてしまっては、クロヌと敵の好戦状況も分からなくなってしまう。
「その理由は簡単だぜ」
オルドルよりも先にミコガミが語り出す。