ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

姫は勇者で魔法使い。 ( No.103 )
日時: 2011/12/04 08:36
名前: 野宮詩織 ◆oH8gdY1dAY (ID: Hfcg5Sle)
参照: 亀更新でごめんなさい((汗 12月9日位からハイペースでいける……はず←

「嫌じゃあああ! 妾は食べ物として生涯を終えたいとは毛ほども思わん!!」

そんなようなことを叫びながら、崖下のクロヌ達の方へとダイブする。
しかし、妾が飛び降りた瞬間、下にいる三人の顔から血の気が引く。

「姫、【衝撃緩和】は!?」

ミコガミが叫ぶ。
うむ、すっかり忘れておったが、今から発動しても間に合わない。

一周回ったせいか、不思議と冷静さを保っていることが出来ているが、今更冷静になれたとて全くもって意味がない。

「うぬ……間に合わぬ!!」

駄目元で魔術を発動してみたものの、やはり間に合いそうにもない。

妾は相当加速してしまっているため、下にいる三人が受け止めようにも勢いを殺しきれない。
それが可能だとしても、彼ら自身が無事では済まない。
これはマズい……!!

「……あれ? 無事じゃ……」

そういえば、地面に激突したはずなのに、あまり衝撃が無かったのぅ……。
まさか、あまりの衝撃に魂だけ飛び出したというわけではあるまいな!?

「サフィール!! 無事か!?」

そんなこんなでパニックに陥っている妾のところに、クロヌが猛スピードで駆け寄ってくる。
そこまで心配しなくても、無事なんじゃがのぅ……。

「翔の上から降りろ」

右隣から声が聞こえると同時に、妾の喉元に薄青色に光り輝く魔法形成円が出現する。
顔だけ右に向けると、そこには金糸のような髪を持ち、身長190センチメートルはありそうな美形の青年が立っていた。

彼の青色の目は、氷のように冷たい————。

「お前らは動くな。 動けば、この餓鬼のいる空間ごと、存在を凍結する」

氷のような瞳の青年が、クロヌ達に忠告する。
もちろん、3人の命も妾の命も大切故、魔法陣にぶつからないようにその場からそそくさと左に移動し、クロヌの横で立ち止まる。

どうやら、妾が落ちてきた際、彼の知り合いを下敷きにしてしまったらしい。

「翔、大丈夫か?」

氷のような瞳の青年が、妾の下敷きとなってしまった黒髪の青年を軽く揺する。
すると、黒髪の青年が髪と同じ黒色の目を開く。

あんな高さから降ってきた妾に激突されたはずなのに、何事も無かったかのように起き上がれるだなんて……。
此奴、本当に人間か……?

「大丈夫だ。 相斗……じゃないな。 今は雨音か?」

黒髪の青年が氷のような瞳の青年に問う。

「あぁ。 お前が潰された時に、相斗がパニックになって俺が引きずり出された」

氷のような瞳の青年が、妾達に刺々しい言葉を向けた人と同じとは思えないほど、優しい声で答える。

「お前は大丈夫か?」

黒髪の青年が妾達の方へと振り返り、心配そうに問うてくる。
こちらの青年は金髪の青年と違い、敵意の欠片も見当たらない。