ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 姫は勇者で魔法使い。 ( No.104 )
- 日時: 2011/12/07 14:23
- 名前: 野宮詩織 ◆oH8gdY1dAY (ID: pFXOI/OC)
- 参照: 亀更新でごめんなさい((汗 12月9日位からハイペースでいける……はず←
「う、うむ。 お陰様で無事じゃ。 礼を言う」
黒髪の青年に答えると同時に、礼を言う。
妾よりもあんなスピードでぶつかった黒髪の青年の方が重傷を負っていそうなものだが、青年には大きな怪我どころかかすり傷一つ見当たらない。
「そうか。 ちゃんと受け止められたようで良かった」
黒髪の青年がニコッと屈託なく笑う。
しかし、彼の横にいる氷のような瞳の青年が殺意の籠もった視線を送ってきているせいで恐い。
「受け止めた? 事故じゃないのか?」
ミコガミが黒髪の青年に聞く。
その間も氷のような瞳の青年は殺意の籠もった視線を妾達に飛ばし続ける。
確かに妾のせいで黒髪の青年を危険に合わせはしたが、当の本人は何事も無かったかのような表情をしているのに、氷のような瞳の青年の方が殺意を抱いていることが恐い。
まるで、黒髪の青年が自分以外と関わることを赦さないようで——。
「事故だったらそこのチビが降ってくる前に、他の奴に潰されてるだろ」
「確かにそうですね」
黒髪の青年の言った言葉にオルドルが同意を示す。
彼の言葉自体に肯定するのは構わないが、妾を「チビ」と言ったところを訂正してもらいたかった。
「それにしても、この辺には普通の人間は近付かないのに……。 迷子か?」
黒髪の青年が先の日本刀を携えていた青年と同じような質問を投げかける。
「うむ、迷子じゃ」
「姫様、胸を張って言うことではありませんよ」
妾の開き直った発言にオルドルがつっこむ。
「あぁ、やっぱり。 どこに行きたいんだ?」
黒髪の青年が尋ねてきた。
やはり、日本刀を携えた青年と同じようなことを言う。
髪や目の色、言動の一致のせいもあるのだろうが、この青年と日本刀を携えた青年は目元などの顔のパーツも似ている気がする。
「目的地というか、人探しをしているのですが……。 この中に知り合いとかいませんか?」
オルドルが異次元から取り出した資料を黒髪の青年に手渡す。
「うわわわっ! 雨音!? どうしたんだ!?」
黒髪の青年がオルドルから資料を受け取ろうとした瞬間、氷のような瞳の青年が黒髪の青年を抱き寄せる形でオルドルから遠ざける。
妾達は勿論、黒髪の青年にも意図は分からないらしく、氷のような瞳の青年の腕の中でジタバタと暴れている。
「もしも、その中に入っている奴を知っていたらどうするんだ?」
氷のような瞳の青年が瞳と違わず冷たい声で問う。
「その方を探しだして、協力していただきます。 戦力になる方々なので、戦場での戦闘をお願いすることになるかと」
下手に隠し立てする方が危険と判断したオルドルが真実を具体的に伝える。
すると、案の定、氷のような瞳の青年の表情が険しくなり、より一層腕に力を入れる。
黒髪の青年はさらに訳が分からなくなったようで、疑問符を浮かべたまま氷のような瞳の青年の名——雨音、と呼びかけ続けている。