ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 姫は勇者で魔法使い。 ( No.126 )
- 日時: 2012/02/18 20:00
- 名前: 野宮詩織 ◆oH8gdY1dAY (ID: pvHn5xI8)
- 参照: ぼっちなう(´・ω・`)
「なかなか気前の良い店主であったのぅ」
メアクと翔の案内で行った駄菓子屋には見たことも聞いたことも無い代物が沢山並んでいた。
中には卵と水と重曹を混ぜて焼いただけ、というものまであった。
そのカルメ焼きとやらを店主殿が試食させてくれたのだが、独特の甘さでとても美味しかった。
ちなみに、同じ行程で重曹を入れないとべっこう飴が出来るらしい。
妾個人としてはカルメ焼きの方が好きだ。
「食いすぎるなよ」
おまけで貰ったものの妾が苦手で食べられないハッカ飴を舐めているクロヌがそう言った。
ハッカ飴に限らずミント系は苦手じゃ。
「大丈夫じゃ! あの家主殿の美味な食事のためにも腹を空かせておかねばな」
「兄様は家主じゃないよ?」
メアクが今さっきの買い物で唯一買ったリンゴ飴を舐めながら、訂正する。
「違うのか? 見たところ、一番年上のような感じがしたのじゃが……」
「あの時いなかっただけで、フランシスが家主だな。 俺らの親も住んでるし、兄貴よりも年上のやつはいるぞ」
メアクに代わって翔が補足する。
「ボクらは見た目じゃ、年齢が分からないからねー。 現にボクの方が翔より年上だし」
「なぬっ!? ということは妾よりも年上ということか!?」
まさかこんなちびっ子が妾よりも年上だとは……。
「うん。 サフィールは10歳くらいでしょ?」
「失礼なっ!! 妾はもう16歳じゃ! 後二月も経てば17になる!」
即座に反論する。
確かに妾は同世代の平均と比較すると小柄じゃ。
しかし、雰囲気や言動累々を考えれば15歳程度には見えるだろう。
同い年のミコガミはちゃんと年相応、ないしは実年齢の少し上だとちゃんと判ってもらえるのに……。
きっと、周りにいるクロヌ達が大きいから相対的に小さく見えるのだろう。
うむ、そうに違いない。
「「「え?」」」
翔とメアクはともかくクロヌまでもが驚愕の表情を浮かべる。
「お前、もう16になってたのか? てっきり13くらいだと…………」
クロヌが申し訳なさそうな表情をしておきながら、オブラートに包まれていない言葉を吐く。
「妾の挙動を見れば少な」
妾が説教を喰らわせるためにしゃべりだした瞬間という図ったようなタイミングに着信音が鳴り響く。
「あ、悪い」
音源は翔の携帯であったらしく、翔が電話するために機械を操作する。
「もしもし。 あぁ、………か。 いや、ダメだな。 た……て……………ロール………………だし。 んー、つ…………いん……………………て! いや、無理。 話を聞け! あー、もう!」
マナーを守って小声でしゃべっていた翔だが、最後の方だけ普通の声に戻っていた。
それにしても——。
「彼奴は何の話をしておるのじゃ?」
聞こえた一言一言をつなぎ合わせると奇跡的な文章が出来上がってしまう。
「翔、どうしたの? 翔はストレートのロングが好きなんじゃないの?」
メアクが心配そうに翔の身体を揺さぶる。
やっぱり、そう聞こえるのじゃな……。