ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 姫は勇者で魔法使い。 ( No.26 )
- 日時: 2011/07/31 22:42
- 名前: 野宮詩織 ◆oH8gdY1dAY (ID: AzZuySm.)
- 参照: ヒジリ・ミコガミの漢字表記は「御子神 聖」ですw
「ダメです! お気持ちは分かりますが、姫様は皇族なのですよ? こんな戦火の中、使用人を守るためなんていう理由で、外に飛び出すなど愚の骨頂です!」
オルドルが負けじと反論する。
ええいっ!
此奴に構っている時間などないのじゃっ!!
「小言は後で聞こうぞ」
「本気か? そして、正気か?」
ミコガミが真剣な顔で問うてくる。
そんなこと聞くまでも無かろうに。
「本気じゃし、正気じゃ」
「そうか……。 でも、お前が言ったところで何が出来るんだ?」
ミコガミが刺すように鋭い目をして、尋ねてくる。
確かに、妾は頭が良いわけでもなければ、武術に優れているわけでもない。
しかも、魔術の類もロクに学んでこなかったため、初歩レベルのものを扱うのが限界だ。
「知らぬ」
「「はい?」」
妾の答えに意表をつかれたらしいオルドルとミコガミが間の抜けた表情を浮かべる。
傍から聞いたら、素っ頓狂な答えなのだろうが、今の言葉以上に妾の本心を表す言葉は存在しない。
「勝算や策略などを打ち出している暇があるのならば、即座に動いた方が良いに決まっておる」
さっきからずっと思っておったが、このドレスはかさばっていて、とても動きづらいっ!
……止む負えん!
「何やってんだ、お前はッ!」
自らのドレスのスカートの横部分を引き裂き、動きやすいようにスリットを作り出した妾に、ミコガミが叫ぶ。
「安心せい。 妾のようなチビに翼状するモノ好きはおるまい」
「欲情する方はいるかもしれませんがね」
オルドルがため息交じりに言う。
こんな時にまで、揚げ足を取りにかかるとはご苦労なことじゃの。
「妾は行くからの!」
オルドルとミコガミにそう言い残し、窓から飛び降りる。
勢いで飛び降りたものの、窓から地面までは意外と高さがあった。
このまま、地面に激突すると死んでしまう危険性があるため、最近会得した衝撃緩和の魔術を発動する。
これは、単純で簡単故、妾でも簡単に使うことが出来る。
普段は物を落としてしまった時程度しか使い道がないと思っていたが、まさかそれ以外で役に立つ日が来るとは……。
「クロヌッ!」
下にいるであろうクロヌに叫びながら、急降下する。
とりあえず、常にスカートの下にドロワを履いておいて正解じゃった!
地面がだいぶ近づいてきたため、反射的に目を瞑る。
魔術の助けでほとんど怪我をする可能性が低いとしても、やはり条件反射はしてしまう。
「……サ、サフィール!?」
クロヌの声が真下から聞こえてきた。
ん? ……真下?