ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 姫は勇者で魔法使い。 ( No.34 )
- 日時: 2011/08/08 20:23
- 名前: 野宮詩織 ◆oH8gdY1dAY (ID: AzZuySm.)
- 参照: 個人的にサフィールの声は釘宮sなイメージ。
「どこじゃっ!? 一応確認するが、どこにおるのじゃ?」
「お前の下だ、バカ」
声の通り、妾の下敷きになっているクロヌがこめかみに青筋をたてて言う。
とりあえず、クロヌが無事で安心したのじゃ……!!
「おぉっ! 無事であったか!」
「お前のせいで怪我が増えた以外は問題ない。 そんな簡単に大怪我を負うほど、柔な鍛え方はしてなくてな」
クロヌが皮肉たっぷりに言う。
折角、主である妾自ら助けに来てやったのに……。
可愛くない奴じゃのぅ。
「うむ。 胸板も厚いし、槍くらいならば、当たった時点で粉砕できそうじゃな」
クロヌの胸を軽くポンッと叩きながら言う。
「……お巡りさーん、ここに逆セクハラをかましてくる変態幼女がいるぞー」
クロヌが軽口を叩く。
此奴らはやれ「幼女」だやれ「ミニマム」だ言っておるが、これでも妾は16歳なのじゃ!
もう少し、大人扱いして欲しいのぅ……。
「姫様、ご無事ですかッ!?」
「ついでにクロヌのことも助けに来たぜ!!」
真上から聞きなれた2人の男の声が聞こえた。
ん? 真上ということは……?
「ぷぎゅっ!」
「ぐえっ!」
オルドルとミコガミが妾の時と同じように落ちてきて、同じように下にいる人間——つまり、妾とクロヌを押しつぶす。
一番下にいるクロヌは3人分の体重で潰されていることになる。
オルドルは執事らしい燕尾服、ミコガミは形容しづらいが東方の忍者という者の服を改造したような格好をしているから、そんなに重くは無いと思うが、大の男2人が何十メートルも上から降ってきたら、服装を差し引いても、とんでもない重さだろう。
重力加速を考えると、瞬間的には車にはねられるくらいの力で潰されていたじゃろうな。
妾のドレスのスカートにボリュームがあるため、多少緩和されただろうが、そんな物は全くと言っても過言ではない程、役に立っていないだろう。
「申し訳ありません、姫様」
オルドルがいそいそとミコガミを引きずりながら、妾とクロヌの上から退く。
「俺にも謝れ」
クロヌが不服そうにオルドルに言う。
「とりあえず、貴方に謝るのは後回しです」
オルドルが周りに警戒しながら言う。
どうやら、妾たちがギャグな会話をしているうちに、【憑獣】を扱う物のみならず、鎧に甲冑という如何にもな感じの敵兵達にまでも囲まれてしまっていたらしい。
よく考えてみれば、妾はこの国の王女に当たる人間。
魔術や学術にとんでもなく長けていたりした場合は別だが、そういうこともない為、人質にはこれ以上ないくらいもってこいの人間だ。
やっと、オルドル達に止められた理由が分かった気がする。