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Re: 姫は勇者で魔法使い。 ( No.67 )
日時: 2011/08/31 08:27
名前: 野宮詩織 ◆oH8gdY1dAY (ID: yjIzJtVK)
参照: シリダク板とファジー板は安息の地。 コメディ板、騒がしすぎる。

「サフィール。 さっきからぐらついてるけど、大丈夫〜?」

母上が何故か楽しそうな声で、尋ねてくる。
優しげな光が宿った妾と同じ青色の瞳の目尻が笑った時特有の垂れ方をしているが、こんな戦時中に何か良いことでもあったのじゃろうか……?

「いや〜、サフィールが戦場に降ってきたっていう報告が騎士達から入ってきて心配してたんだけど、大丈夫そうで何よりだわ〜。 でもね〜」

母上がフワフワした黄緑色のロングヘアを揺らしながら、椅子から立ち上がる。

そのまま、髪と同系色のドレスの裾を僅かに引き摺りながら、こちらへ向かって早足気味に歩いてくる。

「なんでそんなにはしたない格好をしているの〜」

懐から取り出した淡い水色の扇子を取り出し、妾の頭をそれで軽く叩いた。
パシンッ、という小気味のいい音がするが、音の割には痛くない。

どちらかと言ったら、叩かれた衝撃で乱れてしまった髪の方が心配じゃ。

「「「はしたない格好?」」」

オルドル達にも思い当たる節がなかったようで、揃って妾の服装を凝視する。
そして、3人の視線が全く同じ位置で止まり、何やら納得したような表情になる。

釣られるようにして、3人の視線の先を見やると、さっき「動きづらいから」という理由で無理やり作り出したスリットが目に入る。

すっかり忘れておった……!!

「まぁ! 3にんしてサフィールの生足を見つめちゃって〜。 青春ね〜」

母上が実年齢の割には若い——正しくは、魔術を使って若く保っている顔で心底楽しそうに笑う。

しかし、その直後、クロヌ、オルドル、ミコガミの3人が跳ねるようにしてソファから立ち上がる。
な、なんじゃっ!? まさか、また敵襲ということはあるまいな!?

「待ってください! 俺はロリコンじゃありません!」
「そうです! 幼女の生足なんかに興味はありません!」
「こんなチビッ子に欲情したりなんてしません!」

3人が打ち合わせをしていたのではないか、と疑ってしまうほどに、声を揃えて叫ぶ。
……魂の底から言っているようで、本当に心が痛い。

「そうよね〜。 でも、もしも、サフィールを嫁にもらいたくなったらすぐに言うのよ〜?」

母上が柔和な笑みを浮かべ、3人に話を持ちかける。
さりげなく、母上にも馬鹿にされたような気がするが、きっと考えすぎじゃな。

「いらないです」
「一夜限りだとしても、いらないです」
「一夜限りなら、もっと経験豊富な人がいいです」

3人が再び、即座に断る。
ミコガミに至ってはちゃっかり要望まで伝えている。

…………ここまで言われると、流石の妾でも少し傷つくのぅ。