ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

姫は勇者で魔法使い。 ( No.82 )
日時: 2011/09/23 08:54
名前: 野宮詩織 ◆oH8gdY1dAY (ID: U3CBWc3a)
参照: 助太刀部のネタバレが微妙にスタートw

「大丈夫ですよ。 最初から姫様が理解できるとは、思っていませんから」

詳細資料とにらめっこしながら、頭に疑問符を浮かべている妾に、オルドルが笑顔を浮かべる。
一瞬、フォローしてくれているのかと思ったが、むしろバカにしておるようじゃな……。

「姫様以外の人にも分からない点はあるでしょうし、順を追って見ていきましょうか」

オルドルがミコガミに笑顔を向けると、すぐさまミコガミが目を背ける。
さては、此奴、自分もちゃんと分かっていないのに、妾のことをバカにしておったな!?

「まず1つ目の『腐槌』。 この方は女性のようです。 他は……戦闘能力が高いことと決して好戦的ではない、という記述しかないですね」

オルドルが2ページに渡り、字が詰まっている資料を簡潔にまとめる。
流石、次期皇位継承者である妾の教育係をつとめるだけあるのぅ。

「2つ目の『月兎』。 この方は男性で、能力者の軍隊的組織を持っています。 つまり、彼を捕まえればなし崩し的に、4つ目の『能力者』も手中に収められるようです」
「ふーん……」

適当な返事と裏腹に真面目な表情をしているミコガミが詳細資料を捲る。

「3つ目の『百鬼夜行の主』は男性3名だって。こうも男ばかりだと萎えるぜ」

ミコガミが、さきほどまでとは打って変わって真面目さの欠片もない言葉を吐く。

その『百鬼夜行の主』は3人兄弟で、仲がよく、大概3人でくっついているようだ。
ん……? この3人は今までの人達とは違い、写真が載っておる……。

その写真には、朱い髪の青年と黄緑色の髪の青年と蒼色の髪の少年が載っていた。
しかも、3人揃って、美形だ。

「サフィール、耳塞いでろ。 トラウマになるぞ」

同じく写真に目を通したと思われるクロヌが、妾の耳を塞ぐ。
一体、何が起こるというのじゃろうか……?

「ミコガミ、見てください!! ショタですよ、ショタ!」

音声はクロヌの手によって遮られてしまい、いまいち分からないが、何やらオルドルが写真を指差して目を輝かせているようじゃのぅ……。

「ショタコン治ってなかったんだな……」

クロヌがあからさまに呆れた表情をして、口を動かす。

「いいえ、私はショタコンではありませんよ? 女性は内面も見ますが、男性に関しては外見重視なだけです。 調教してしまえば、性格なんて変わりますから。 そもそも、私のストライクゾーンを直撃するのは、調教のしがいがありそうな黒髪の美青年でですね……。 ショタは生意気で調教のしがいがあることが多いだけです」

オルドルが街頭演説よりも熱を込めて、何かを熱く語っている。
オルドルの話が進む毎にミコガミとクロヌがやつれてきておるのは、気のせいじゃろうか……?

「…………オルドル、5つ目は?」

だいぶやつれたクロヌが、オルドルに問いかけると同時に、妾の耳から手をどける。

「あぁ、5つ目は『不知火の血族』でしたね。 こちらは、男性も女性もいるようです。 彼らは戦闘能力がずば抜けているようですね。 ただし、話の通じなさと好戦さは随一のようです」

オルドルが一通りの説明を終え、資料をテーブルの上におく。