ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

姫は勇者で魔法使い。 ( No.96 )
日時: 2011/10/23 22:07
名前: 野宮詩織 ◆oH8gdY1dAY (ID: Hfcg5Sle)
参照: こえ部とかにいるとskypeの便利さを痛感するのぜw

「ここが日本か……」
「あんまり祖国と変わらないな」

魔術を使い、意外とすぐにたどり着けた日本はクロヌの言う通り、妾達の国とたいして変わり映えが無かった。

昔は言語も国によってだいぶ異なっていたりしたらしいが、今は完全に統一されておるしのぅ……。
多少、地域によって訛りがあったりはするものの、その程度の差は誤差の範囲だろう。

「うげっ!!」

資料を見返していたミコガミが、突然、大声を出す。

「どうかしたのか?」

クロヌが不思議そうな表情でミコガミに問いかける。

「この【不知火の血族及び眷属】って結界の中に住んでるって書いてあるぜ!?」
「それがどうかしたのですか?」

ワタワタと慌てているミコガミとは対照的に澄まし顔のオルドルが首を傾げる。
ミコガミは『結界の中に住んでいる』の意味を分かった上で慌てているのだろうが、妾の場合はそれの意味が分からずパニックに陥っておるのじゃが……。

うぬ? 何故かクロヌに腕をつつかれたのじゃが、何かあったのか……?

「結界の中に住んでるということは、見えない。 見えないから、捕まえられないという意味だ」
「おう、そういうことじゃったか」

クロヌが話を理解出来ていなかった妾に内容を簡略に説明してくれる。
有り難い限りじゃな。

「いやいや、見えない相手をどうやって捕まえるんだ?」

ミコガミがオルドルに問いかける。

「【月兎】の欄をちゃんと読みましたか? 【腐槌】以外は全員、【月兎】の組織に入っていると書いてあったでしょう。 つまり、【月兎】を捕まえられれば半分以上達成できるんですよ」

オルドルがミコガミだけではなく、妾達にも説明する。
つまるところ、実質的に【腐槌】と【月兎】さえ捕まえられれば、他も芋づる式に出てくるということじゃな。

「ですから、住処周辺が見えなくても問題ありません」

一通り証明し終えたオルドルが笑顔を浮かべる。
オルドルが笑顔を浮かべる時は大概ロクなことは起こらないんじゃがのぅ……。

今更ながら、周りを見回してみると、木などの植物しか見当たらない。
つまり、ここは森の中だということじゃな。

「ふみっ!? モアク、メアク! 人間がいるよ!!」

突然、背後から幼い女の子の可愛らしい声が聞こえた。
オルドル達3人にも、しっかりと聞こえたようで各々素早く武器を構えながら振り返る。

振り返ってみると、そこには妾よりは僅かに高いが、平均よりかは明らかに小さい背丈の女の子が立っていた。
服装は薄いピンクと白を基調としたゴスロリで、ピンク色のロングヘアにとてもよく似合っている。
そして、パッドでもつめているのか胸が大きい。

こんなところに女の子一人でいるということは、迷子かのぅ……?

「母様! 大丈夫?」

すると、すぐ側の茂みからこれまた小さな少年とクロヌと同じくらい背の高い青年が現れた。

小さい方は、茶髪にパッチリした茶色の目、オレンジ色のパーカー、膝上丈の茶色のズボンをはいていて、大きい方は、黒髪に切れ長の黒い目で右目は眼帯、軍人の制服を黒に変えたような服装をしている。
似ても似つかない容姿の3人だが、どことなく雰囲気が似ている気がするのは気のせいだろうか……?