ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 風プロ パラノイア Ep2 2-1更新 10/22 コメ求む ( No.230 )
- 日時: 2011/10/23 21:30
- 名前: 風猫(元:風 ◆jU80AwU6/. (ID: rR8PsEnv)
Episode2
Stage2「現実も非現実も分らないんだ……だから、赦してくれよ」Part1
(一人称視点:HN・Neuron 本名・馬宮 優希)
——何が正しくて何が間違っているのか? それは、誰が判断するのか? 面倒クセェ……考えるだけ無駄さ——
Neuron————
寝て喰ってゲームして本読んで……ゲームして寝て本読んで学校とか面倒クサイ。
良い暇つぶしはねぇかなぁ? 暇潰しとかなくて良いんだけど……良くないんだ。
訳が分らない。 何を言いたいのかも考える気もない。 でも、退屈ってのは……心身に堪えるらしく余計に面倒だ。
学校には一応通ってるけど正直言って周りはただの風景にしか見えない。
僕を見ている奴もいなければ僕も周りなんてみていない。 って言うかなんだか人間ってぼやけて見える。
鬱陶しいし思い通りにいかないし馬鹿ばかりだし……同じことの繰り返しでマジだるい。
正直、アニメとかみたいなスッゲェありえないピンチとかなったら僕絶対ゴメンなんだけど今の状況もゴメンなんだ。
退屈すぎても躍動しすぎていても体が付いてかない。 無気力の極致ってやつかな?
まぁ、そんなわけで僕は、少しリアルに刺激を虚無的な感覚で探していたんだ。
そしたらさ。 あるとき突然、凄い興味有ることが転がってきた。
アストラルって言う今、巷で大流行している痛みを感じるゲームって触れ込みの奴。
そのゲームの参加者が突然、全員消失したとかさ。 凄いよな。 まぁ、僕は、全然実際、なーんにも感じないんだけど。
動かない心が何か少し変な風がさ? 興味ない。 無気力。 いや、一応は、僕だって求めているんだぜ?
そう、なんだか楽しいと思えば適当に楽しむくらいの甲斐性はあるんだ。
ログインしてキャラクタ作って中に入る。 簡単そうだし現実から逃げられそうじゃない。
そういえば、その消失? 失踪? 消滅? どうでも良いけど居なくなった人たちはどうしたのかな?
PCに吸い込まれたとか言ったら面白いな。 もっとも、多くのそれが有力視されているけど。
面白いか。 面白いってどういう意味だっけ? ははっ、どうでも良いや。
唯単に生きているのに適当な暇潰しが必要なだけさ………
そう、思って僕は、何箇所かのサイトを周って適当にどんな奴が興味持ってるか確認する。
そして、行きつけのサイトの一つ。 多分、五番目位? の“小説カキコ”にログイン。
カキコでも結構、アストラルに参加していた奴が居るみたいで結構、例の騒ぎが起こっているみたいだ。
さっきのPCに取り込まれたのが有力って言った理由の一つがこれ。
アストラルに参加しているのは確実のはずで世間的には行方不明扱いのはずの人間の名前が、画面上では普通に現れているのだ。
それも、なんだか、周りの会話とまったく噛合っていないのに話が垂れ流されていく感じ。
適当に、言葉を羅列してスパムするような感じじゃなくて……如何にも本人らしくてその話自体が続いている。
それなのに他人の会話は無視する感じがする妙な感覚。
あれだ。 言うなれば、みんなの言葉を脳内で構築しなおしてして衆人の情報に有ったような偽りの情報を与えられているような……
そんな感じ。 分りづらいかな?
僕も分らないや。 面倒くさいからどうでも良いし。
とにかく、それが多くのサイトで蔓延しているんだ。 とても面白半分の構ってちゃんとは思えないレベルなわけ。
あぁ、後、もう一つ面白い情報といえば政府の人達がコンタクトした行方不明者の身内の人たち。
皆、一様にその家族のことを忘れてるらしいんだ。 不思議だね?
何かにおうよね。 面白そうだよね……仮想のリアルの檻に収監されてデスゲームでもさせられているのかな?
「刺激的だろうな。 無気力に眺めていると楽しそうだなぁ」
僕は、ただただそんなことをお気軽に思っていた。
そして、多くの人間が、アストラルに何かあると当りをつける。 当然だよな。
あたりをつけるというか確定事項だろそれ? そんな確定めいた恐怖は、刺激の少ないリアルに生きる面々を駆り立てる。
多くは警戒したり恐怖したり馬鹿馬鹿しいと罵ったりするけどそんな中に僕みたいな破滅的な奴や探究心に負けたやつは必ず居る。
信じがたいほどに多い現実。
そして、現実的に考えてありえないが、PCの容量の枠内に人間がプログラム化されて存在している可能性が考慮されている中。
今尚、その危険なゲームは、政府の上層の誰からも危険視されているのに消去させられる気配は無い。
それどころか、プログラムの防衛システムがやけに硬いらしくサイトを強制閉鎖させて新規の参加者を規制することもできないらしい。
言うなれば、お化け屋敷に入って永遠に帰ってこれない餓鬼を沢山量産する可能性のある状況で……
それに魅せられる阿呆どもは確実に存在して……ただ、退屈から逃れたい平凡なチビの自堕落青年もその一人で……
気付くと僕は”NeuronとHNを打ち込んでメールアドレスを打ち込んで。
そして、アストラルの囚人になるならなんの意味があるのか分らないパスワードを設定してアストラルの世界の門戸を叩いている。
細かい項目を見て顔を歪める。
顔とか声とか面倒クサイ。 あぁ、職業……処刑者とか魔王とか厨二チックな職業名が心をくすぐる。
目の色は、何か魔王っぽい赤にして髪の色は黒じゃつまらないから適当に、選択欄の上に記載されている白を選択。
結局、魔王っぽいちょっと強そうなイケメンと強面を合体させたような顔を造るのに時間が掛かった。
まぁ、頭の中は全然、何にも感じては居ないけどこういうところ手を抜けない主義らしい。
最後に、声は、結構渋めの格好良い声を選択。 中田譲二って人の声らしい。 声優に興味ないから分らないけど。
こうして、百六十センチメートルギリギリ程度のチビの渋い声のアンバランス魔王が完成した。
それでは、いざログインである。
今からわくわくするぜ。 頭の表面が火山の溶岩みたいにガツガツフツフツしてるけど心はまったく熱くならないんだなこれが。
さぁ、いざ、未知なる悪夢の世界へとログイン。 勿論、魔王である僕に災いは降掛らないよね?
何たってそれを見越してでもあるんだぜ。
『ログイン……っと。 うっ、うわおぉぉぉぉぉっうぅっ!?
グニャングニャンの妙な感覚。 何か気持ち悪、気持ち良いんだけどぉ』
瞬間、PCのディスプレイ全体が、凄まじい光を発する。 それは、激しい勢いで明滅しやがて僕の体を包み込む。
その瞬間、僕の視界はグニャリと気持ち悪い感じに湾曲して体中が無重力みたいななんか未だかつて感じたことない感覚に襲われる。
やばい。 ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ……なんだか癖になりそう。
でも、これがネット全般や一部の政府の見解に付随するものなら二度と味わえないだろうなぁ。
まぁ、ゲーム内でも似た現象があるなら別だけど。 気に入ったから有って欲しいなぁ。
頻繁に————
風。
頬を撫でる風。 気持ちが良い。 まるでリアルの夜長を散歩しているときみたいだ。
まぁ、散歩とかしないから実際知らないけど。
凄い完成度だなとひとしきり新世界の空気を満悦して、辺りを見回してみる。
時間は、現実世界と同じで夜。 月や星達が、空を賑わす。
深緑の葉をたわわに茂らせた木々の間から見える星々が都会では見れない景観を作る。
しかし、そんな中にちらほらと異物が居る。 僕と同じ、このゲームに興味を持った人間達だ。
皆、一様に同じ方向を目指して歩いている。
理由は分る。 その皆が向かう方向には、コミュニティが確認できるからだ。
木で造られた自然をふんだんに使った建物が等間隔で並ぶ趣と精緻さの両方が、存在するそんな町だ。
僕もぼーっとしていてもゲームは始まりそうにないと悟り皆の向かう方へと歩き出す。
存外に、遠くにあったらしく到着してみると思った以上に規模の大きい町だと知る。 名前をフランカスカというらしい。
まるで星明りで生きてますって感じの松明の控え目な灯りが心地良い。
「新規のプレイヤーは、此方へ」
凛とした声が、僕に投げかけられる。
声の方向に目をやるとそこには、このフランカスカにしてはやけに明度の濃い点灯設備が設けられた建物。
そして、その入り口に白い絹のコートとミニスカートを履いた美女。
表情の少ない精緻な人形のような顔にモスグリーンの右目。 龍のエンブレムの刻まれた眼帯と言う井出達だ。
まぁ、正直、厳しそうでS性な僕の興味の対象外だ。 そもそも、女とか興味ないし。
いやいや、男にも興味ないよ!? ホモとかきもいって正直に思えるほど気力も無いけど……
まぁ、兎に角、そんな馬鹿なことを考えていても意味ないしあの姉さんの言うとおりにしようか。
入り口を通り抜けるとき、何か、案内の人と目が合った気がした。
無表情で厳しそうでムカつく。 壊したい。
ゲームの目的ってなんだろう。
どうでも良いや。
僕は、唯の傍観者に徹するつもりだし。
「物好きって多いんだな」
中に入った感想は、そんな感じだ。 うん、そんな感じ。
目に付くだけで百人は超えてる。
気持ち悪い。 人間嫌い……
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